ついに捕まりました鬼舞辻無惨には唯一無二の友がいる。友は無残のことなら何でも理解してくれた。無惨が欲しがるものは何でも与えてくれた。
最初は両親が無惨に与えたものであるが、与えられたからには友は無残のものなのだ。それは決定事項だった。
その所有物が、ある日勝手に死んだ。無惨は荒れた。
鬼となり、友を失ったままの100年余り、友とそっくりな子供を見かけた。その子供も無惨を見て驚いていたから、あれが友の生まれ変わりであることは間違いなかった。
友が自分の隣にいるのは当たり前だからと無惨が迎えに行けば、友は既に事切れていた。下賤な人間に殺されたのだ。
その後も何度も友の生まれ変わりを見つけた。しかし不思議なことに、友は無残に見つかると必ず死ぬのだ。まるで天が邪魔をしているかのように。
一度死にかけの友を鬼にしようとしたが、どうやら友は鬼になれない体質のようだった。たまにいるのだ。自身の血に耐え切れず苦しみながら死んでいった友を見て、無惨は友を鬼にするのは諦めた。その代わり、見つけたら寿命まで傍においてやろうと誓った。
そして今、友は漸く無惨の手元に戻ってきた。相変わらず察しの悪い愚図だが、きちんと無惨のことを覚えていたため、無惨は許すことにした。
早く無限城に連れて帰ろう。ずっとそばにおいて置こう。だって友は、無惨だけの友なのだ。最初から、友の傍にいる権利は無残だけのものなのだ。
(もう逃がさないからな)