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※一部占い師最低表現注意。


は?と思わず低い声が出た。目の前のナワーブがビクッと震える。

「ど、どうしたんだ?」

「・・・ナワーブ、もう一度さっきの言葉を言ってくれ」

「う、羨ましいよな・・・?」

「その前」

「い、イライのやつ、婚約者がいたなんて吃驚だよな。惚れた女のためにゲームに参加してるなんて、なぁ?」

再び僕の口から低い声が出た。ナワーブは訳もわからず怯えている。傭兵がこの程度で怯えるんじゃないと叱咤してやりたいが、今はそれどころじゃない。
イライに婚約者?ちょっと待て、イライ、お前、僕と付き合ってるじゃないか。
僕とイライが付き合い始めたのは、彼が荘園にやってきてからしばらく。婚約者のためにゲームに参加しているということは、明らかに僕が後。僕、浮気相手だった?


「・・・因みにだけど、その話は本人から?」

「あ、あぁ。好きな女のタイプの話になって、タイプは婚約者だって・・・」

「へー、ふーん、そぉ」

もし周囲から無理やり婚約関係にされたのなら、そんな風に言うわけがない。ということは、婚約者のことは本当に愛しているんだ。やっぱり僕が浮気相手じゃないか!


「ナワーブ」

「ひっ!?」

「有難う、とても、とてもいい話が聞けたよ」

どうして僕が怒っているのかさっぱりわからないが、関わらない方がいいことは察したらしいナワーブは「ど、どういたしまして」と引きつった顔で言いながら後ずさりをした。

さて、可愛い婚約者がいるくせに僕という男の浮気相手を作りやがった最低野郎をどうしてくれようか。返答によっては尻を破壊する所存だ。

怒りを隠すことなく強く床を踏みしめて歩く僕に声をかける愚か者はいない。すれ違ったピアソンさんがナワーブと同じように「ひっ!?」と悲鳴を上げたり、丁度エマやヘレナといった子供組と遊びにきていたらしいロビーくんが恐怖のあまり大泣きし始めたけれど、そんなのお構いなしだ。




「イライ」

「・・・!?」

イライは部屋にいた。ノックもなしに問答無用で扉を開けると、青い顔をしたイライがいた。天眼で未来でも見たのだろうか?青い顔のまま後退るばかりで返事はない。


「やぁイライ、イライ・クラーク。聞いた話によると君にはそれはもう可愛い可愛い婚約者がいるそうじゃないか。好みのタイプは婚約者?ナワーブが羨ましがってたよ。いいじゃないか、婚約者。とっても素敵だよ。でもそんな愛しい婚約者と離れこんなイカれたゲームに参加するなんて、残された婚約者は可哀想だなぁ?こんなに思い合っているのに、離れ離れなんて。イライ、お前も寂しくて仕方ないんじゃないか?寂しさのあたり、現地で浮気相手を作ってしまうぐらいには」

「お、落ち着いてくれ、名前」

「落ち着け?落ち着いているとも。ただちょっと血管が切れそうで、ちょっと目の前の最低野郎の尻の穴を二度と閉じないぐらいにぶっ壊してやりたいぐらいさ」

「そ、それは全然冷静じゃないな」

一歩近づけばイライは一歩後退する。冷静な判断が出来ていないのはイライの方らしい、逃げてもそっちは壁だ。


「ゲームじゃ見事なチェイスを披露してくれるのに、今日はとっても下手くそだなぁ?それとも、逃げたらもっと酷い目に遭う未来でも見えた?」
あっさり壁に追い詰められたイライは無言。どうやら図星らしい。

「べ、弁明のチャンスが欲しい」

突然、意を決したようにイライは僕を見た。

「へぇ、弁明?あるならむしろ言って欲しいよ。婚約者から離れた遠い地で、浮気を、あろうことか男の浮気相手を作って尻での行為を許したその狂った神経についての弁明を」


「彼女も好きだが君も好きだ!!!」


「うん、普通に最低だからとりあえず尻を使い物にならなくしてもいい?一生おむつで生活しろよクズ」

これはもう尻破壊コース確定だ。婚約者がこの歳からおむつなんて、何も知らないであろう婚約者の女性にはちょっと悪いかな。彼女も僕と同じ被害者だ。もし事の事情を知りイライを訴えたいというなら、喜んで協力しよう。

そんなことを考えていると、がしっと両手を握られた。まるで懇願するように見上げてくるイライという名のクズ。むしろ、クズが本名だった可能性も出てきたな。


「君を一目見た瞬間から、彼女と出会った時のような強い衝撃を受けたんだ。彼女への愛は全く薄れていないのに、君への愛情もどんどん膨れ上がっていく・・・どんなに君に嫌われようと、私は君から離れるつもりなんて一切ないっ!」

「うんうん、いっそ清いね」

「好きだっ、君を愛してる。もしナワーブの質問が女性のタイプではなく、単純に好きなタイプであったなら、私は迷わず二人の特徴を言っていた!」

「もうわけがわからないんだけど、とりあえず尻は壊していい?」

「壊さない程度なら甚振ってくれて構わないから!だから私とこれからも付き合い続けてくれ!」

壁に追い込んだのは僕のはずなのに、今度はイライがじりじりと迫ってくる。やめろ、迫るな、手を離せ。


「イライ・クズ・クラーク、君は本当に救いようがないな」

「っ、その表情、ちょっといいな」

僕の蔑みの表情に若干新たな性癖の扉を開けかけているイライは、真っ赤な顔で口元にだらしない笑みを浮かべた。




どうやら屑だったらしい




「男同士の結婚はできないから、名前は私の愛人ということで手を打ってくれないだろうか」

「何がどうしてそれで手を打つと思ったの?尻破壊だけと言わず、パイプもカットしていいって意味???」



あとがき

初の占い師夢が可笑しなことになって申し訳ないです。
占い師には婚約者がいる、でも男主と付き合って欲しい・・・その結果がこれです。
『質問』の【第五人格の占い師の夢を書いていただきたいです!】を実行したつもりですが、占い師のイメージを崩したら申し訳ないです。
次回はもっと普通に書きます。



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