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ぷすっと何かが刺さった。

刺さった瞬間、何故だか一人の少年が好きになってしまった。

可笑しいな。ただちょっと傍にいただけの少年が好きになってしまうなんて。


思わずじっと見つめていると、少年がこちらに気付いた。そして、何やら申し訳なさそうな表情を浮かべる。

その意味はわからないけれど、その顔を見て胸がどきどきと煩くなった。不思議だ、ずっと好きだったみたいな、とてつもない愛情が溢れてくる。

もし僕が自制の利かない人間であったなら、すぐにでもこの少年に襲い掛かって恐ろしい間違いを犯すところだろう。何とか踏みとどまって、僕は大きく深呼吸をした。


「こんにちは」

口から、自分のものとは思えないか細い声が零れた。

相手の少年は僕の言葉に「こんにちは」と返してくれる。礼儀正しい子なのだろう。好きだ。初めて聞いた声はとても素敵で、もっと聞きたくなった。

「君は、その・・・」

可笑しいな。ただ傍にいただけの少年に声をかけるなんて、普通はしない。何か用事があるわけでもなく、その声を聴きたいがために声をかけるなんて。

可笑しい。この状況は絶対に可笑しい。けれど口は勝手に「僕は名前っていうんだけど、君は?」と少年に問いかけている。


「・・・シンヤと言います。初めまして、名前さん」

あぁ好きだ。

好き。シンヤ、少年の名前はシンヤ。僕の名前を呼んだ後に少し微笑んだシンヤが愛らしくて溜まらない。好き。シンヤ、シンヤシンヤ・・・

絶対に可笑しいと思う一方で、シンヤに対する愛が止められない。溢れてくる。


「そう。シンヤって言うんだ。ごめんね、突然名前なんて聞いて。驚いたでしょ」

「いえ、そんなことないですよ」

にこりと笑うシンヤに一瞬手が伸びそうになるのを逆の手で抑え込んで「そっか」と笑う。

理性と本能がぐらぐら揺れている。僕はこんなに自制の利かないヤツだったろうか。

絶対に可笑しい。可笑しい、可笑しい、シンヤ好き、可笑しい、シンヤ、シンヤ好き、愛してる、この状況は可笑しい、好き・・・


「・・・それじゃぁ、僕はそろそろ行くよ。さようならシンヤ」

「え?あ、はい」

何やら驚いた顔をしているシンヤに「じゃぁ」と言って背を向ける。

危ない、このままではシンヤへの愛のままに彼へ襲い掛かってしまう。それは避けたい。

「あっ!待ってください」

「えっ・・・」

ぎゅっと服の裾が掴まれ、電気が走ったような衝撃を感じた。

あぁ、シンヤが、シンヤが僕の服を掴んでいる!いや、何を興奮する要素がある。ただ呼び止められただけだ。


「あの、大丈夫・・・なんですか?」

大丈夫、とは。確かに今の状態の僕は大丈夫ではない。今の僕は可笑しい。自覚はある。今の僕は可笑しい、可笑しいんだ。あ、シンヤの唇、小さくて可愛い。好き。

「・・・さぁ、どうかな。放してくれるかな、シンヤ」

「ごめんなさい。あの・・・」

「どうかした?」

あぁ、シンヤが困惑した顔をしてる。可愛い。今すぐにでも攫って閉じ込めて僕だけのものにしてしまいたい。違う、早く放してもらってこの場を離れなければ。

「よかったら、そこの喫茶店でお茶でも如何ですか?僕、そこの店員なんです」

「えっ?」

シンヤが僕を誘った。シンヤも僕に気がある?だから呼び止めた?両想い?あぁ、シンヤ!僕も同じ気持ちだよ!何を馬鹿な、そんなわけあるものか。意味がわからない。あぁ好き!シンヤ好き!何で好き?あぁ可笑しい。シンヤ。


「駄目、ですか?」

「・・・ううん、じゃぁ少し入ろうかな」

そう言った瞬間「よかった」とほほ笑むシンヤに、胸がぎゅっと締め付けられると同時に、頭の中がすぅっと冷えた。

やっぱりこいつ可笑しい。いや、シンヤ可愛い。違う、可笑しい。




冷静な頭が苦言を呈す




「聞いたよ。君、シンヤの矢に刺されても平気だったんだってね」

「矢?何のことだかさっぱり・・・」

シンヤ、シンヤ、好きだよシンヤ。

あぁ、この思いが爆発しなくてよかった。

僕の権限が『自制』にまつわるものでよかった。

そうじゃなければ今頃僕は、シンヤに酷いことをしていたはずだから。あぁ、好き、好きだよシンヤ。・・・何でこんなことになったんだ?



お相手:シンヤ
シチュエーション:東京放課後サモナーズをやっていると聞いて!!!(バッ)シンヤにキューピッドの矢をさされても無事な主人公をシンヤが気に入っちゃう話がいいです!!!!ギャグでもシリアスでもなんでもいいです!!!!

ギャグでもシリアスでもなんでも、とのことでしたが、若干ホラーな感じになったことはどうか許してください・・・
シンヤ可愛いですよね!異音はまだ★3しかゲットできていませんが・・・


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