05
美味い。私は一口啜った珈琲を見つめ、小さく呟いた。
現在私は、DC世界に来たら一度は足を踏み入れてみたい場所『ポアロ』でホットコーヒーを啜っている。
店員の梓ちゃんは文句なしに可愛かった。安室さんも美形だった。
カップ片手に求人情報誌を読み漁る。既にコンビニのアルバイトとして就職しているが、いずれは正職員を目指したい。そのために少しでも情報収集をしなければならない。
「いらっしゃいませ。・・・おや、貴女は」
「えっ!貴方はあの時の」
入り口の方でそんな声がして求人情報誌から顔を上げてみれば、ロマンスが始まっていた。
「あっ、あの時は有難う御座いました」
「いえ、お怪我がないようで良かった」
彼女の驚き顔と慌てた声、狙ってこの喫茶店に来たわけではなさそうだ。出で立ちもラフだし手には近くの本屋のロゴが入ったビニール袋・・・おそらく、本屋に行った帰りに立ち寄ったのだろう。そんな風に偶然立ち寄った喫茶店に恩人がいてしかもそこの店員だったとか、なんという夢小説感。これは拝まずにはいられない。
顔を真っ赤にしてお礼を言う彼女は可愛らしかった。あ、すみませーん、珈琲のおかわりくださーい。
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