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02


「失礼、アンダーソン警部補の席はどちらでしょうか」

窓の清掃中、見知らぬ声がして振り返った。見知らぬ顔が僕を見つめている。

側頭部のLEDで相手もアンドロイドだとわかるけれど、昨日まではこんなアンドロイドはいなかった。新入りだろうか。

「ハンク・アンダーソン警部補の席はあちらです」

「そうですか」

くるりと背を向けてさっさと僕が教えたアンダーソンさんの席へと向かう彼は、たぶんだけどアンダーソンさんの補助役とかそういうものになるのだろう。

警察署長の部屋を清掃している時に署長である彼がアンダーソンさんのことを心配していたのを思い出す。アンダーソンさん本人には言わないが、彼はアンダーソンさんがこれからも警察官としてやっていけるようにいろいろと手を回しているのだ。

僕は再び窓掃除に戻る。今日はちょっと空が曇っている気がする。・・・まぁ、大気汚染も僕が生きていた頃よりも大分進んでいるみたいだし、空が曇っているのは天気のせいだけではないだろう。それでも空はいい。空を見ていると気分が晴れる。



「エド、悪いがブレイクルームの掃除を頼む。誰かが珈琲をこぼしたままどっか行きやがった」

ブレイクルームの方から少し大きめの声がして、僕は窓掃除を止めた。毎日僕が掃除している署内は一日ではそんなに汚れたりしない。窓掃除を一日さぼったぐらい、誰も気づかないだろう。

「今行きます」

短くそう返事をして、僕はブレイクルームへと向かった。

誰かが珈琲をこぼしたと言うけれど、きっと零したのはリードさんだな。全く手のかかる人だ。まるで大きな子供だな。

もちろん内心の悪態などちらりとも出さず、僕は清掃に専念するのだ。




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