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「拝啓カラ松くんへ」

「どうしたんだ?」

「カラ松くんに手紙を書いてる」

「隣にいるのに?」

「隣にいるのに」

「そうか」

「うん」



「拝啓カラ松くんへ。貴方がこの手紙を読んでいる頃、私は死んでいるでしょう」

「ラブレターじゃなくて遺書か」

「遺書だよ」

「そうか」

「うん」



「拝啓カラ松くんへ。貴方がこの手紙を読んでいる頃、私は死んでいるでしょう。ずっと黙っていたのですが、私は人間ではありません」

「そこは『実は病気でした』とか書くところじゃないか?」

「人間じゃないんだよ」

「そうなのか」

「うん」



「拝啓カラ松くんへ。貴方がこの手紙を読んでいる頃、私は死んでいるでしょう。ずっと黙っていたのですが、私は人間ではありません。私は魚です。近所の釣り堀にいる魚なんです」

「あえて魚なのか」

「うん」

「しかも釣り堀にいるのか」

「うん」



「拝啓カラ松くんへ。貴方がこの手紙を読んでいる頃、私は死んでいるでしょう。ずっと黙っていたのですが、私は人間ではありません。私は魚です。近所の釣り堀にいる魚なんです。今まで人間に化けていたのですがもう限界です。私は釣り堀に帰ります。さようなら」

「まるで『実家に帰ります』みたいな言い方だな。しかももう終わりか?どうして死んでるのかも書かれてないぞ」

「釣り堀に帰ったら、釣り人に釣られて捌かれて食べられて死んじゃうんだよ」

「エグイな」

「エグイね」

「でも魚なら仕方ないな」

「そうだね、仕方ないね」

「じゃぁ、お前が知らない誰かに釣られてしまう前に俺が釣らないとな」

「沢山いる魚の中から私を見分けられる?」

「見分けられる自信が無いから、逆にこっちが知らせる。迎えに来たって」

「他力本願の鑑だね。そういうとこ、嫌いじゃないよ」

「奇遇だな、俺も愛してる」

「あれ?愛してるとか言ってないけどなぁ」

「言わなくても分かってるぜ、マイハニー」

「おー、話が通じないぜダーリン」






水の底に帰った彼女





「なぁカラ松、いい加減普通の餌で釣りすれば?まぁそもそもこの釣り堀全然釣れないけど、その餌よりはマシだぞ?」

「良いんだこれで」

「はぁ?」

「俺はこの釣り堀の底に居る女神にラブコールを送っている最中なのだから」

「・・・いたたたたっ、痛い!痛すぎる!」

「何!?大丈夫かブラザー!」


今日も松野家次男松野カラ松は釣り堀に愛を放り込む。



あとがき

偶に唐突に会話文だけの話を書きたくなって失敗するパターン。
恋人主が病気か入水自殺かはたまた本当にお魚(人外主)に戻って、いなくなっちゃう話。
人外主だった場合、そのうち釣り堀の底からこんにちはする。死んじゃってても、お魚に生まれ変わってこんにちはしてくれたら良い。取りあえず最終的にはカラ松が幸せならそれで良い。←



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