問題事は避ける主義「徐倫、徐倫!すっげー良いヤツがいたんだ。名前って言うんだけどさ」
「名前?ねぇエルメェス、知ってる?」
突然出てきた名前という名前に心当たりのない徐倫がエルメェスに問いかけると、エルメェスは「うげぇっ」と顔を歪めた。
「おいおいF・F、お前マジであの事なかれ主義女が『良いヤツ』だと思うのかよ。あの女、自分に被害が出そうになると平気で他の奴を売る女だぞ」
「名前はあたしを水道まで連れてってくれたし、コップまでくれたんだ!あ!あっちに名前いる!名前〜!あんたもこっちに来て喋ろうぜー!」
少し離れた場所を歩いていた名前に気付いたF・Fは笑顔でブンブンッと大きく手を振った。
「おい徐倫、見ろよあの女。F・Fに声かけられた一瞬、物凄く嫌そうな顔しやがったろ?」
「そうね、けどすぐに笑顔を作って近づいてくるんだし、面倒事が起こらない限りは警戒する必要なさそうよ」
そんなこんなで『問題事の塊』ともいえる三人と深く関わり合いになってしまうことになる未来を、名前という女はまだ知らない。
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