お姉ちゃんはアンドロイド「名前!名前ッ!もういい!此処までで十分だ、術式を解け!」
時間停止から今まで、姉は幸吉を抱いて走り続けた。遠くへ、出来るだけ遠くへ。
縛りと術式開示による底上げによって成立した領域展開だが、それは名前の肉体へ大きな負荷をかけた。
そろそろ術式を解かなければ、まず名前の身体が持たないだろう。
「・・・幸吉、あぁ、貴方をこうやって抱きしめられるなんて、なんて幸福なんでしょう」
罅割れた顔で名前が笑う。
そうして遠くまで逃げ出し、名前は術式を解いた。
動き出す時間、ばきばきと砕け散る名前の両手足。抱きかかえられていた幸吉は咄嗟にその身体を抱え返し、何とか名前の身体が地面に叩きつけられるのを防いだ。
目を閉じている名前が緊急停止しているのが製作者の幸吉にはわかる。
「・・・高専に、行こう」
京都高専に行き、歌姫先生に助けを求めよう。あの優しい先生なら、心底嫌っている五条悟にも繋いでくれるはずだ。呪詛師夏油の存在と、こちらが知り得る情報を全て開示するんだ。そして、名前を修理する準備を整えて、それから・・・
「有難う、姉さん」
考えることはまだ多くある。けれど今は、姉によって得られた『生』に感謝したかった。
あとがき
自分をメカ丸の姉だと思っているアンドロイドみたいな呪骸の話。
圧倒的姉属性。弟のためならえんやこら。
突然変異のためか術式を持っているが、使えば一発KOで核ごと壊れる仕様。
縛りと術式開示でようやく使える。でも肉体的負担は大きいため、この度両手足が砕け散った。あともうちょっとで顔面も砕けるところだった。
どうにかこうにか修理をして貰うけど、多分渋谷編では両手両足がっつり装備のメカ少女になる。背中にメカの翼を背負って飛ぶ。少年の夢盛り盛り。
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