異世界アンデッドガール「つ、つまり、貴女は動く死体、肉のあるゴーストであると?」
保健室の丸椅子に座り青い顔の保健医に腕を縫合して貰いながら、同じく青い顔でガクガクと震えている学園長に「はい、まぁ」と返事をする。肉のあるゴーストはなかなかに新しい表現で、少し気に入った。
ポムフィオーレ生が気絶した直後、私を抱えて保健室まで走ってくれたクルーウェル先生は、現在ぐったりとベッドに寝かされている。気絶をギリギリまで耐えて私を保健室まで連れてきたためだそう。クルーウェル先生には悪いことをした。
「でも別に、そんなに隠していたわけじゃないです。定期的に提出してる購買部の領収書の内訳は、防臭剤と防腐剤とツナ缶、大体この三つだけでしたよね?学園長からの生活費にはどう考えても人間一人と魔獣一匹の食費が含まれていなかったから、最初から死体で良かったです。本当に生きているなら、今頃死体になってました」
死体であることに感謝しながらそう口にすれば、いつの間にやら目を覚ましていたクルーウェル先生と私の腕の縫合を終えた保健医が学園長をぼこぼこにし始め、流石に驚いた。
あとがき
異世界にやってきたゾンビなガール。
ゾンビとアンデッドの違いはイマイチわからないけど、自分が生きていないことはわかっている。
たぶん元々はファンタジーな世界にいて、もしかすると勇者もいる世界だったのかもしれない。夢が広がる。
これを機に今後ゾンビであることを隠さなくなるかもしれない。防臭はマナーだからきちんと続ける。
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