だって愛してるんですもの「・・・でね、彼は僕の母親の形見を取り返してきてくれたんだ」
嬉しそうに話す名前は、此処一ヶ月ぐらいつけていなかった母親の形見を大事そうに身に着けている。
まさか一ヶ月つけてなかった理由がそんなこととは知らなかった同僚のダニエルは、名前の話に度々出てくる『彼』と名前自身にドン引きする。
「なぁ、それって普段クズなやつが少しまともな行動しただけで、何の解決にもなってないよな」
「え?解決?あぁ、告白は玉砕だったけど、彼はそれでもうちに来るし、いずれもう一回告白してみようかなって」
「・・・お前、やっぱイカレてるわ」
「酷いなぁダニエルは。あ、そうそうこの間の事件だけど、捜査資料をまとめたんだ、一度目を通して貰っても?」
「お前、普通に生活しとけば普通に良い男なんだから、さっさとそんなクズとは手を切れよ」
「それは無理だよダニエル。愛してるんだ」
にこりと心底幸せそうに笑う名前に、ダニエルは呆れたようにため息を吐いた。