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黒木源造




「細田、今帰りか」

「・・・黒木先生」

鞄を持ち、昇降口に向かっている途中に体育教師の黒木先生に声を掛けられた。

ずんずんと大股でこちらに近付いてきた黒木先生は「一人か」と尋ねてくる。僕は咄嗟に「いいえ、昇降口で友達が待ってます」と答えてしまった。何故だろう、思わず嘘をついてしまった。

黒木先生は生徒から恐れられる厳しめの教師で、よく生徒を怒鳴りつけているところを見かける。でもそれは別に理不尽に怒鳴り散らしてるわけじゃなくって、ちゃんと理由あってなことで、僕は黒木先生は怖い先生だけど悪い先生じゃないと思ってる。

だけど何でかな、黒木先生に見つめられると何だが少し落ち着かなくなる。それはたぶん、先生が僕を見る目が、僕の知り合いが僕を見る目とは何だか違う気がするからだろう。

「細田、気を付けて帰るんだぞ」

「はい、先生」

「くれぐれも、遅くまで学校に残らないようにな」

まぁ何かあれば俺も宿直室にいるから、という黒木先生は一瞬舌なめずりをしているように見えた。


(目が捕食者のソレのように見えてしまった)




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