大川大介
「お前ばっかりユッキーに愛されてズルい!お前なんかただのデブの癖に!」
出会い頭にそんな言葉を叫ばれた場合、どう対応するのが正解なんだろう。
僕が曖昧に「は、はぁ」と返事をすると相手である大川先輩は捲し立てるように僕がいかにデブであるかと語った。
風間先輩にもよく体系のことで弄られるけど、此処まで容赦なく罵倒してくるのは大川先輩ぐらいだな。大川先輩を前にすると、風間先輩が優しく感じてきちゃうから不思議だ。
「ちょっと聞いてるの!?」
「あ、すみません。でも先輩、愛されてるって言われても僕イマイチわからないっていうか・・・」
それにしても臭いな。鼻の良い綾小路先輩なら卒倒モノだろうな。
そんなことを考えていると大川先輩に「お前なんか嫌いだ!」という言葉と共に突き飛ばされてしまった。
ずてんっとその場に尻餅をつけば「あははっ!凄い!今地響きを感じたよ!本当にデブだよね君って!」と頭上から大川先輩の声が降り注いだ。
たぶんだけど大川先輩、自分の体形のことわかってない。僕と似たようなもんなのになぁ。
「これに懲りたらユッキーに近付かないでよね!」
そんな捨て台詞と共に大川先輩が去って行き、僕は打ちつけたお尻を擦りながら立ち上がってため息を吐いた。
周囲からは「面倒なヤツに目を付けられて可哀相」という視線をひしひしと感じるし、さっさとこの場を離れた方が良さそうだ。
綾小路先輩がストレスをため込む理由がわかる気がする。
(その日の放課後、泣きそうな顔をした綾小路先輩が僕のお尻の心配をしてくれた)戻る