竹内清
※細田成代り主(一年生)
「竹内先輩って良く食べますね」
「・・・そうか?」
持って来たお弁当、購買部の菓子パンや総菜パン、果てにはスナック菓子。
二つ年上の先輩はよく食べる。
そんな先輩、竹内清先輩は学校で『トイレに行かない人』として有名で、何故だか僕はそんな先輩と頻繁に昼食をご一緒させて貰っている。
学年も違えば同じ部活でもないのに、こうやって昼休みの度に一緒に昼食を取るのは何だか変な話かもしれないけれど。
「そういう細田は全然食べないな」
「その体系の癖にって意味ですか?そういう体質なんです。先輩だって『そういう体質』なんでしょう?」
「まぁ、そうだな」
「そんなに食べたり飲んだりしてるのに、本当にトイレ一回も行かないんですね」
僕の言葉に先輩は「そうだな」と頷いて指についたスナック菓子の破片を舐め取った。
本当に良く食べるなと思いながら先輩を見れば、その身体はまるで針金細工みたいにほっそりしてて、女子たちがこぞってその秘密を知りたがる気持ちはよくわかる。
けれど僕は、秘密を暴きたいとは到底思えないんだ。
「細田になら教えてあげなくもないぞ、僕の秘密」
にこりと笑ってそう言う先輩に、僕は曖昧に笑って首を振った。
だって、面倒事のニオイがぷんぷんするじゃないか。
(それは先輩が卒業する数ヶ月前のお昼の出来事)戻る