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※DV表現注意。


愛してるはずなのに暴力を振るってしまう。

散々虐げて、散々怒鳴って、散々嬲って、そして正気に戻ると相手に縋りつく。


なんて浅ましい人間なのかと自分でも思う。あまりに下等であまりに下劣な人間だ。

だというのにあの子はそんな僕を許すんだ。気にしてない、大丈夫、傷なんてすぐ治るから、そんなことを言って僕を抱き締めてあやす。まるで大きな子供を抱えた母親のように、いや、僕が知る母親よりもっと愛情深く僕に接してくれる。

でもそうすると、僕はもっと惨めになるんだ。何であの子はあんなに綺麗なのに自分はこんなに醜いんだろうって。





「はぁっ、はっ、このっ!このぉ!」

何度も何度も両腕を振り下ろす。

僕に跨られ、何度も殴られたあの子。特に顔は酷い有様で、頭の片隅でこれ以上やったら危ないとわかっているのに、それでも僕はあの子の顔を殴った。殴って殴って、殴り続けた。


あの子は僕の下で大人しく殴られてる。反射的に出る呻き声以外であの子が声を発することはない。

でも僕がゆっくりと、ゆっくりと正気に戻り始めた頃から、あの子は声を出すんだ。



「大丈夫、俺は大丈夫だよ、名前」

「っ、ごめんっ、ごめんなさい、許して、違うんだ、こんなことするつもりはっ、だって、だって僕」

「大丈夫。愛してるから」

腫れた顔であの子は笑う。優しく美しく聖母のように笑う。僕はその顔を見ると無性に悲しくなって泣いてしまうんだ。



どうやったら僕は、あの子を傷つけなくて済むんだろう。

僕は泣きながらあの子を抱き締め、そしてあの子に抱き締められた。





痣だらけの聖母様





「好き、愛してるよ名前」

耳元で囁くあの子にまた涙が溢れる。


ねぇ、お願いだから僕を拒絶して。



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