「さっき、メールしたんだけど」


授業と授業の間にある休み時間にタカちゃんが不機嫌そうに私のクラスまで現れて、そう言った。

端っこの席で、前の席の友達と話してたところに、どうどうと現れたタカちゃん。


「あ、今日携帯忘れたの。何か用事あった?」


そう私が返すと、タカちゃんはさらにつまらない様子で言う。


「別に……」


タカちゃんは、私の彼氏さん。

つい最近1ヶ月突破しまして……でも、その。

手を繋いだことはなく、ましてやデートなんて未だにしてなかったり。

それでも、夜になるとお互いメールやら電話やらで、そこそこ恋人っぽいことをしてる。


それで、今日。

何故、私の彼氏さんは今こんなにも不機嫌なのでしょうか。

メール?

メールで何かあったんですか?

ふたりとも学校にいるんだから、わざわざメールとかしなくてもいいと思うんだけども……。

それとも、メールでじゃなきゃいけませんでしたか?

もともと携帯忘れた私がいけないってことになっちゃってたり、してますか?

っていうかですね、タカちゃんが直接ここに来たってことは、何か大切なことだよね?


「タカちゃん、どうかしたの?」

「しつもーん」

「は?」


タカちゃんは、これまた不機嫌そうにぶつぶつ言う。


「今日は何時間授業ですかー?」

「4時間ですけれども。はい」

「部活はー?」

「全部活中止……だったっけ」

「ちなみに、俺らデートしたことは?」

「……ない、です」

「つまりー?」


なんとなく、わかった気がする。

いや、わかった。


……早いうちに言って欲しかったなあ。

昨日の夜も電話したのに。

でも、なんとなく想像できてしまう。

きっと、何度も何度もメールの文を打ち直して、悩んだ末に今日に送ることになってしまったんだってこと。

シャイな彼の、しそうなこと。


「今日、校門で待っとけ」

「はーい」


気づいた私はくすくす笑いながら、そう返事をした。







(そのあと校門に現れた彼は、開口一番そう言った)





∵10/07/03 天樹

title::ニーチェの鼻歌
home::ルシファーの焔


「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -