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今までは名前しか見えてなかった、や、過去形じゃないよ?今も名前のこと大好きだし。ただいちいち愛の言葉っていうのを囁いたりキスとかセックスをしたりするのがちょっと億劫になっただけで。だから手頃な女の子とお喋りしたり?はたまたその先までいっちゃったりするわけ。


「…あ、」


でもバレるとは思ってなかったんだよね。やっばいなぁ、怒られちゃったりすんのかな。


「なぁに、キヨちゃん知り合い?」

「え、あ…うん」

「じゃあ挨拶してきなよぉ、ほらぁ」

「……やっほー、名前」

「…何処かでお会いしました?」

「え?」

「人違いだと思いますけど」


あれ、名前だよね?だってあの黒子の位置だって同じだし名前の声を俺が聞き間違えるわけない。


「キヨちゃぁん、間違いだってー」

「ちょ、メンゴ、用事思い出した」

「はぁ?キヨちゃんっ」


何で知らない振りしたんだよ?てっきり怒るんだと思ってた。名前は案外短気だ、すぐ怒る。それも可愛い気がするけど。


「待ってよ、名前!」

「…どちら様ですか?」

「もういいよ、名前。…ごめん」

「…何が」

「その、女の子と会ってた?みたいな…」

「…清純は悪いことしたの?」

「…え?」

「女の子と会うのが私に悪いと思ってるの?悪いと思ってるなら何でしたの?スリルが楽しかったの?それで私が傷つくと思ってたの?」

「え、名前、」

「清純の考え、外れてる。だって私、傷ついてないから」

「…う、そ」

「本当。ただ来るべき時が来たの」

「…意味わかんないんだけど」

「私が清純と付き合いはじめてからもう4年はたった。人間の恋愛感情なんて3〜5年しかもたないの。どうしても飽きて来ちゃうのよね。それはもう人類が誕生して、より多くの子孫をつくるために多くの人と交わるようになってから当たり前のように脳にはインプットされているの。だから、清純が私に飽きはじめるのには脳科学的に当然な時期だったわけ」

「そ、そうなの?」

「…まぁ清純は1年目から他の女の子と遊んでたけど」

「……バレてた?」

「当然。だって私は清純しか見えてないしずっと見てたから」

「……は?」

「飽きはじめるのは女でも同じなんだよ。でもなんでだろうね、そのデータに私は当て嵌まらないみたい。……まだ私の知らない清純がいて、知ってる清純もいて、それを感じる度にどんどん夢中になるんだもん」


はにかむ名前を抱きしめる権利はまだ俺にある?
本人でさえも気付かない涙を拭うことは許される?
まぁ名前の気持ちなんてどうでもいいや、だって今俺凄く名前のこと抱きしめたいから、いいよね?