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…寒い。
まだ10月とか信じられない。私、冬生きていけるかな。はぁと溜め息が自然に零れて、冷たくなった指先を擦り合わせる。あったかくならない。あぁ、もう学校まで遠すぎる。さっきの眠気が嘘みたいにさめて、きっと寒さのせいだと思う。
がらりという音にびっくりして見れば花井くんが立っていて、なんだかホッとした。阿部くんだったらもっとびくびくしてたと思う。


「早いな、部活?」

「私、帰宅部だよ」

「わ、悪い」

「良いけど。花井くんは朝練?」

「おー」


がたりと隣の机が音をたてた。ああ、そういえば席替えしたから隣なんだっけ。


「ぅえー…」

「大丈夫か?」

「あ、うん。寒いだけ」

「あー確かに」

「……頭が寒そう」

「は?」


あれ、今私なんて言った?


「あああ、ご、ごめん!私別に悪気があって言ったわけじゃなくて!ぼ、坊主にしたことないし分かんないから寒いのかなって思っただけなの!ごごごごめんなさい!」

「い、いや気にすんなよ。さみーっちゃさみーけど」

「あははだよね!私でも時々頭寒いし!」


ああもう私の馬鹿!何言ってんのもう!気にすんなとか言われても気にしちゃうよね、男の人って禿げやすいっていうし!いや、花井くんはあえての坊主かもしれないけどいや絶対そうだ。


「…っ!」


あたたかいものが頭に触れた。そのまま頭をがしがしやられる、え、何これ?


「な、何でしょう」

「頭がさみーって言ったから」

「ま、摩擦熱?」

「おー、そんなところだ」


は、激しくないですか?ぐりぐりやられて若干痛くなってきた。


「…これからも撫でてやるよ」


ん?…ってことは、


「は、禿げさせたいの!?」

「はぁ!?」

「だっ、だって摩擦して後退させるってことじゃ…!」

「ちげぇよ!」

「…違うの?」

「あーもー…」





あっためてやる
((鈍すぎだろ…!いやオレの言い方が悪いのか…?))
((私、なんか間違ったこと言ったのかな?))