談話室でクラッブやゴイル達と話しているといつの間にか時計は1時を回っていた。
他にもスリザリン生はいたが皆、自分のベッドに戻っていた。
自分も戻ろうとしたその時、反対側の女子寮から誰か出て行ったのが目のすみに止まった。
寮と廊下を繋ぐ額がパタンと閉まる音で我にかえる。
一般の生徒はとっくに廊下に出歩くことを禁じられたこの時間に出て行った奴のことが気になり辺りを見回してから自分も外に出た。
廊下に出て壁に掛かってる肖像画を起こさないよう音を立てずに歩く。
動く階段を2、3回使うと梟小屋に着いた。
入り口のところから覗くと女の子がこちらに背を向けて、ばさばさっと梟が羽ばたく音が聞こえた。
こちらに向かって来るのが分かったので息を潜めて隠れる。
自分の前を通るちょうどその時、
『何してるの、マルフォイ』
声を掛けられた。
その声を聞いてため息をつく。面倒な奴の後をつけてしまったものだ。
彼女は名前・苗字。
スリザリン生の中で気が強いことで有名だった。
「気付いていたのか」
『当たり前でしょ。で、質問に答えてもらいましょうか。何で私の後をつけていたの?』
「そりゃあ、お前が禁じられた時間に寮の外に出て行ったから…」
『そう、それをスネイプ先生にチクろうって?あのね、貴方が私をつけていた時点で貴方も同罪なんだからね』
正論にぐうの音も出ない。
『さあ、戻ろう』
苗字が階段からこちらを見上げて言ってきた。
『フィルチに見付かりたいの?早く来なよ』
「怒ってないのか?」
恐る恐る聞くと、『お節介な貴方が夜中に寮から出る生徒を見たら後をつけるのは目に見えていたわよ』と帰ってきた。
ここまで言い負かされたのは初めてだ。
こんな情けない姿を誰にも見られなくて良かったとドラコは胸を撫で下ろした。
(見ているのは夜空の星たちだけ)