昼食を取る為大広間に行く途中、廊下で大量の荷物を抱えている生徒と擦れ違った。
歩き方がぎこちなく、分厚い本を何段も重ね前がきちんと見えないようである。
ルシウスやナルシッサは声をかけずにその横を通り過ぎて行く。
マロンもそのまま歩いて行こうとしたが突然立ち止まった。
『忘れ物をしました』
ルシウスと一緒に歩いていたナルシッサが振り向いて
「何?貸出期限の過ぎた本…?」
と尋ねる。
マロンはぶんぶんと首を振ったがそれ以上は何も言わなかった。
ルシウスは訳が分からないといった様な顔ををしたが、ナルシッサは「そう。先に行ってるわ」と言って微笑み、行ってらっしゃいと手を振った。
『大丈夫?どこまで運ぶの?』
「ありがとう。課題に使えそうな本を片っ端から借りたら思いの外、量が多くなっちゃって」
『寮まで運べばいいのね!』
「助かるわ。わたし、リリー・エヴァンズ。あなたは?」
『マロン・クリーム。よろしくね』