スリザリンの談話室にマロンが大きな箱を抱えて入って来た。
あまりの大きさに不審がってルシウスはマロンに尋ねる。
「何を運んでいるんだい?」
『蓄音機です』
ルシウスが聞いたことのない単語が返ってきた。
「蓄音機とは何だ…?」
ますます不審がって聞くとマロンは少し嫌そうな顔をして
『マグルが音楽を聴く為に使う道具です。壊れてしまったのでウィーズリー先輩に直してもらったんです』
と蓄音機の説明と経緯を話した。
するとルシウスは顔を真っ赤にしながら怒鳴った。
「な…マグルが使う物を!?おまけにウィーズリーに直してもらっただと!?君はそれでもスリザリンか!」
『ならルシウス先輩は直せるんですか?それに音楽と謂うものは国を越えて、人種を越えて広がるものですよ。ルシウス先輩もマグルが作った曲だからといって嫌わず、聴いてみてはどうですか?』
マロンも負けじと反論する。
そう言って箱から出した蓄音機を机の上にドンと置いて、脇に挟んでいたレコードを置き蓄音機を掛けた。
『素敵な曲でしょう?』
マロンは微笑む。
ルシウスは考える。
課題がない午後。
音楽を聴きながら紅茶を飲む。
そんな過ごし方も良いかも知れないと思った。