「ああ、良い湯だった…」
タオルで髪をさすりながら部屋に入り自分のベッドのカーテンを開けると、そこにはマロンが寝そべっていた。
『ねーねー、初夢って知ってる?』
「…その年になって初めて見る夢だろ…?
それから僕のベッドから下りろ」
イギリスの、しかも魔法界に属する自分が何故日本の、おまけにマグルの風習を知っているかは聞かないでくれ。
昔リリーが話してくれたんだ。
東洋には、新年に初めて見る夢でその年の吉凶を占う習慣があると。
補足説明まで一気に言うとマロンはおとなしく下りた。
珍しいな。
『31日に見る夢だと思うでしょ?』
マロンの問いに「違うのか?」と尋ねると『半分正解で半分不正解』と帰ってきた。どういうことだ。
『昔は31日の夜だったんだけど、寝ないで夜を過ごす習慣のせいか1日の夜に変わったんだって。だから今では1日の夜に見る夢を指すらしいよ』
そういうとカーテンをシャーッと開け出ていく。『そうそう』と言って、カーテンの間から顔を覗かせる。
まだ何か用があるのか?
『だから今日の夜見た夢も初夢であってるんだよ!』
「ああ、そうか。分かったからさっさと自分の部屋に戻れ」と言いつつ布団に潜る。
そうだな…とりあえず、ポッターに勝つ夢でも見るか。