翌朝、クリスティーヌがハーマイオニーとジニーと一緒に朝食を食べているとハリーが何やら急いでやってきた。
そして、テーブルに着いても朝食を食べようとしなかった。
『おはよう、ハリー。朝食とらないの?』
クリスティーヌは尋ねてみた。
「あぁ…うん。ちょっと気分がすぐれなくて。それよりも、朝食を食べ終わったらちょっと知恵を貸して欲しいんだ」
クリスティーヌはどうしたのだろうと思いつつ『えぇ、いいわよ』と頷くと口元を拭いてハーマイオニーが食べ終わるのを待った。
校庭に出るとハリーはクリスティーヌとハーマイオニーに昨夜ハグリッドと禁じられた森に行き、ドラゴンを見たこと。シリウスからはカルカロフに警戒するようにと言われたことを話した。
「とにかく、ハリーが火曜日の夜も生きているようにしましょう。それからカルカロフのことを心配すればいいわ」
ハーマイオニーは必死の面持ちで言った。
ドラゴンを抑えつける呪文とは何だろうといろいろ考えたが全く思いつかず、三人は図書館に移動した。
図書館に着くと早速ドラゴンに関するありとあらゆる本を引っ張り出し、役に立ちそうな情報をさらう。
『「ドラゴンを殺すのは極めて難しい。古代の魔法がドラゴンの分厚い皮に浸透したことにより、最強の呪文いがいは、どんな呪文もその皮を貫くことはできない」ですって』
「だけど、シリウスは簡単な呪文が効くって言ってたわよね…」
「それじゃあ、簡単な呪文集を調べよう」
ハリーは持っていた本を放ると呪文集を一山抱えて戻り、パラパラとめくり始める。
ハーマイオニーはハリーのすぐ脇でひっきりなしにブツブツ言い始めた。
「うーん、『取替え呪文』で牙の代わりにマシュマロなんかに取り替えたら少しは危険ではなくなるけど…でも問題はさっきの本にもあったように、ドラゴンの皮を貫くものがほとんどないってことなのよ…変身させてみたらどうかしら。でも、あんなに大きいとあまり望みないわね。マグゴナガル先生でさえもだめかも」
「ハーマイオニー、ちょっと黙っててくれない?僕、集中したいんだ」
ハーマイオニーの呟きに耐えかねてハリーが言うと静かになったが、効果的な呪文が見つからず、焦る気持ちが募る様子をクリスティーヌは手に取るように感じた。
結局、得られるものは何もなく、ビクトール・クラムが図書館に入ってくるのを見たハーマイオニーが退出を促し、三人は図書館を後にした。