翌日からの授業では、ハリーとロンの間にハーマイオニーとクリスティーヌが座って会話を成り立たせようとしたが、二人ともいつもどおりの受け答えをしつつお互いの目を合わさないようにしていた。
『いつまでこんな状態が続くのかしら?』
「最初の競技が11月24日にあるからそれまでに仲直りできればいいけど…学校中がいまやハリーが自分で名前を入れたと思ってるのよ。四方八方から冷たい視線を浴びて私だったら耐えられないわ」
『二週間の間に元通りになればいいけど…。お互いにかたくなになって距離が離れてきているように見えるわ』
スケジュール帳を見ながら言ったクリスティーヌはハッとした。
第一の課題が行われる週の前の土曜日にホグズミード行きの印が付いていたのだ。
『ハーマイオニー…21日ホグズミード行く時に二人を誘いましょう!私ハリーに伝えてくるわ!』
ハーマイオニーの返事を聞く前に、クリスティーヌは走り出していた。
『ハリー!ハリー!』
ハリーは遠くから自分の名前を呼びながら突進してくるクリスティーヌに一瞬驚いた顔をした。
「そんなに慌ててどうしたの?」
自分の前で立ち止まり息を整えるクリスティーヌに尋ねた。
『ハリー!今度ホグズミード行くわよね?三本の箒でロンと仲直りしましょう!』
頬が紅潮させながらにっこりと笑う。
するとハリーは眉間にしわを寄せながら言った。
「心配してくれてありがとう。ホグズミードには行くよ。でもロンと会うのはごめんだ。僕、『透明マント』着ていく」
思いもよらなかった言葉にクリスティーヌは戸惑った。
『ねぇ、ハリー。ロンがいなくてさびしくないの?』
ハリーのローブの裾を握りながら尋ねる。
「さびしい?ロンがいなくてさびしいなんてことはない…けど……」
『ふふふ、その言葉を聞けただけでも良しとしましょう』
言葉とは裏腹にさびしさを隠しきれないハリーの様子にクリスティーヌは少し安心し、ハリーのローブからそっと手を離した。