翌日は土曜で普段なら遅い朝食を取る生徒が多いがこの日は違った。
それはクリスティーヌも例外ではなかった。

クリスティーヌが玄関ホールに下りて行くと、既に20人ほどの生徒がいた。


『おはよう。誰か名前を入れたの見た?』

クリスティーヌはゴブレットの側に座っているハッフルパフ生に声を掛けた。

「ダームストラングが全員。ホグワーツ生は見てないわ。あと一時間早く起きて見ていたら目撃できたかも」

悔しそうにゴブレットを見ていたが、早起きをしてお腹が空いたのか、朝食を食べに大広間に入っていってしまった。

クリスティーヌは暫くゴブレットを見つめていたが、誰も来る気配がなかったので朝食を食べに大広間に入った。
取り皿にサラダを盛り付けていると、ハリー、ロン、ハーマイオニーがクスクス笑いながらやって来た。

『おはよう、3人して笑ってどうしたの?』

クリスティーヌは尋ねた。

「フレッドとジョージがね、『老け薬』を飲んでゴブレットに名前を入れたの。でも、2人とも『年齢線』の外に押し出されてしまったの」

ハーマイオニーが笑いながら説明をする。

「うまくいったと思ったんだけどね、ボンって大きな音がして白くて長い顎髭が生えちゃったんだよ」

『あら、いやだ。私もう少し粘っていればその現場に立ち合えたのに』

ハリーの言葉にクリスティーヌは2人の姿を想像して、残念そうに言った。

朝食が終わるとクリスティーヌは自室に戻って便箋を取り出し、両親と幼なじみのマークに手紙を書いた。

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お父さん、お母さん、元気に過ごしていますか?
なかなか手紙が出せなくてごめんなさい。
書き出すと止まらなくなりそうで、時間がたくさんある時に書きたかったの。
先ずは、今年あるイベントの報告をするわ!

三大魔法学校対校試合がホグワーツで開催されるの。
これは過去に何度か開催されていたみたいなんだけど、生徒が命を落とすようなことが何度かあって長らく行われていなかったの。
でも、今年は参加者に年齢制限を設けることで行われるのよ。
選手は各学校から一人ずつ選ばれるわ。
挑戦者は、紙に自分の名前を書いてゴブレットに入れるの。
残念ながら私は年齢に達してないから観客席から観るだけなんだけど、そのために他の学校の生徒も集まっていて、熱気がすごいの!

今日の夕方、試合に代表選手が決まるわ。

優勝者には賞金が貰えるから、年齢を誤魔化そうとした人もいたみたい。
けど、その人達はゴブレットの周りに敷かれた『年齢線』にはじき出されて、白い顎髭が生えてしまったんですって!

生憎その現場に立ち合うことが出来なかったけど、立派な髭だったみたい!

このイベントのおかげで、いつも以上に楽しく過ごせそうです。また何かあったら連絡するわ。またね!!

クリスティーヌ

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手紙を出した後、大広間に行くと玄関ホールに設置されていた「炎のゴブレット」は教職員テーブルのダンブルドアの席の正面に移されていた。

先生方が席に着き、食事が始まると大広間の誰もが待ちきれないといった表情で校長席をチラチラと見て、ダンブルドアの食事はまだ終わらないかとそわそわしていた。

ついに、金の皿がきれいさっぱりと真っさらな状態になるとダンブルドアが立ち上がった。

「さて、ゴブレットはほぼ決定したようじゃ」

ダンブルドアが杖を取り出し、大きく一振りすると、蝋燭が消え、部屋はほとんど真っ暗となった。

ただ一つ「炎のゴブレット」が青白い炎を出している。


ゴブレットの炎が突然赤く火花を散らし始めた。炎がメラメラと宙を舐めるように燃え上がると、炎の舌先から焦げた羊皮紙を一枚落とした。


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