ダームストラング一行の後についてホグワーツの学生も石段を上り城に入る。

大広間に戻る頃には先ほどの寒気も無くなっていた。グリフィンドールのテーブルまで行き腰を掛ける。

「こっち!こっち来て座って!」
向かいに座ったロンが歯を食いしばるように言う。

『どうしたの?』
クリスティーヌは尋ねたがロンは見向きもしなかった。

「こっちだ!ハーマイオニー、そこどいて。席空けてー遅かった」

ロンが悔しそうに言う。目線を辿るとダームストラングの生徒たちがスリザリンのテーブルに着くところだった。

ドラコが1人の生徒に話しかけている。

「おう、おう、やってくれ。おべんちゃらベタベタ」
ロンが毒づくとハーマイオニーはフンと鼻を鳴らした。

クリスティーヌが教職員テーブルに目を向けると、管理人のフィルチがダンブルドアの両脇に2席ずつ、4脚の椅子を追加していた。

『2人増えるだけなのにどうしてフィルチは4つも出したのかしら?』
「後は誰が来るんだろう?」ハリーも言う。
「さあ?」とロンは曖昧に答えた。
まだダームストラング生に熱い視線を向けている。
クリスティーヌとハリーは顔を見合わせため息をついた。

全校生徒が大広間に入り、それぞれの寮のテーブルに着くと教職員が入場し、上座のテーブルに着席した。

ダンブルドアが二言三言話すと宴が始まった。目の前の皿はいつものように満たされ、クリスティーヌがこれまで見たことがない外国の料理もいくつかあった。せっかくなので、クリスティーヌはそれらをメインに食べた。

皿がからになって来た頃ダンブルドアが再び立ち上がった。賑やかな大広間が一瞬にして静まり返える。

「時は来た」
ダンブルドアが話し始めると心地よい緊張が大広間を満たす。

「三大魔法学校対抗試合はまさに始まろうとしておる。『箱』を持って来させる前に、二言、三言説明しておこうかの。まずは、まだこちらのお二人を知らない者のためにご紹介しよう。国際魔法協力部部長バーテミウス・クラウチ氏と魔法ゲーム・スポーツ部部長ルード・バグマン氏じゃ」

パチパチと2人に向けて拍手が鳴る。

「そして、お二方は、カロカロフ校長、マダム・マクシーム。このわしとともに、代表選手の健闘ぶりを評価する審査委員会に加わってくださる。」

再び拍手が鳴った。拍手が止むと、ダンブルドアは咳払いをし、フィルチに箱を持って来させるよう言った。

大広間の隅からフィルチが箱を持ってダンブルドアの方に進み出る。見つめる生徒たちから興奮のざわめきが起きた。

「代表選手たちが今年取り組むべき課題の内容は、既にクラウチ氏とバグマン氏が検討し終えておる。さらにお二方は、それぞれの課題に必要な手配もして下さった。課題は三つあり、今学年一年間に渡って、間を置いて行われ、代表選手はあらゆる角度から試される。魔力の卓越性、果敢な勇気、論理・推理力ーそして危険に対処する能力などじゃ」

「皆も知ってのとおり、試合を競うのは三人の代表選手じゃ。参加三校から各1人ずつ。選手は課題の一つ一つをどのように巧みにこなすかで採点され、三つの課題の総合点が最も高い者が優勝杯を獲得する。代表選手を選ぶのは、公正な選者ー『炎のゴブレット』じゃ」

ダンブルドアは杖を取り出すと木箱の蓋を3度軽く叩いた。蓋は軋みながらゆっくりと開いた。ダンブルドアは手を差し入れ、中から大きな荒削りの木のゴブレットを取り出した。一見見栄えのしない杯だったが、縁から溢れんばかりに青白い炎が踊っていた。

「代表選手に名乗りを上げたい者は、羊皮紙に名前と所属校名をはっきり書き、ゴブレットの中に入れなければならぬ。立候補の志あるものは、これから24時間のうちに、その名を提出するよう。明日、ハロウィンの夜に、ゴブレットは各校を代表するに最もふさわしいと判断した三人の名前を返して寄越すであろう。このゴブレットは今夜玄関ホールに置かれる。我をと思わん者は、自由に近づくが良い」

「年齢に満たない生徒が誘惑にかられることのないよう『炎のゴブレット』が玄関ホールに置かれたなら、その周囲にわしが『年齢線』を引くことにする。17歳に満たない者は、何人もその線を超えることは出来ぬ」

ダンブルドアが大広間を見渡す。
誰一人として話をするものはいなかった。

「最後に、この試合で競おうとする者にはっきり言うておこう。軽々しく名乗りを上げぬことじゃ。『炎のゴブレット』がいったん代表選手と選んだ者は、最後まで試合を戦い抜く義務がある。ゴブレットに名前を入れるということは、魔法契約によって拘束されることじゃ。代表選手になったからには、途中で気が変わるということは許されぬ。じゃから、心底競技する用意があるのかどうか確信を持った上で、ゴブレットに名前を入れるのじゃぞ」

クリスティーヌはゴクリと唾を飲み込んだ。
喋ってもいないのに喉がカラカラになっていた。

ダンブルドアの話が終わると共に宴はお開きとなり、各々寮に戻った。


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -