魔法薬学の予習をしようとクリスティーヌが図書室を訪れるとドラコもいた。
『久しぶりね、ドラコ』
クリスティーヌが声を掛け座るとドラコは顔を上げ「そうだな」と言った。
『この前の…大丈夫だった?』
クリスティーヌがいたち事件のことを尋ねるとドラコは
「大丈夫そうに見えたか?」
と返した。
クリスティーヌが首を横に振るとドラコは「でも、」と言った。
「でも、クリスティーヌが止めようとしてくれたのは嬉しかったよ」
そう言ってドラコが微笑むとクリスティーヌは顔が熱くなるのを感じた。自分にしか見せない優しい笑み。
『聞こえてたのね』
クリスティーヌが恥ずかしそうに小さく言うと
「あの時の君の声は一際大きく聞こえたよ」
くすくす笑いながらドラコは言う。
『でも止められなかったわ』
「いや、君が心配してくれたことが嬉しかったんだよ」
悔しそうに俯いたクリスティーヌにドラコは優しく声を掛け服の袖で涙を拭こうとするのを止める。
「久しぶりに会ったのに泣くだなんて…」
『ドラコ…』
「君の気持ちだけで十分だ」
クリスティーヌの手を握り言う。
クリスティーヌはドラコの言葉に黙って頷いた。