城に近付くにつれて、雨はますます激しくなった。空は暗く、窓も曇ってしまい車内灯が点いた。

汽車から降りると、外はバケツをひっくり返したような土砂降りで雨は激しく降っていた。

「こんな天気の中湖を渡るのはごめんだわ」

ハーマイオニーの言葉にクリスティーヌは頷きながら馬なし馬車に乗る。

ドアが閉まると馬車の長い行列は雨水を跳ね飛ばしながらガラガラと城を目指して進んだ。


組分けも終わり、食事も進むとダンブルドアは「さて!」と言って全員を笑顔で見渡した。

「皆よく食べ、よく飲んだことじゃろう。いくつか知らせることがある。耳を傾けてもらおうかの」

大広間がしーんとするのにそう時間はかからなかった。

いくつかの禁止事項が上げられ最後に寮対抗クィディッチ試合が今年取やめになることを伝えられた。

「えー!」とハリーは絶句しフレッドとジョージも口をぱくぱくさせていた。

「これは10月に始まり今学年の終わりまで続くイベントの為じゃ。しかし、わしはこの行事を皆が大いに楽しむであろうことを確信している。ここに大いなる喜びを持って発表しよう。今年、ホグワーツで―」

しかし、ちょうどその時、大きな雷鳴と共に大広間の扉がバタンと開き一人の男が入ってきた。

長いステッキに寄り掛かり、長い旅行マントを纏っている。

今までダンブルドアに向けられていた視線が一斉にその男に向けられる。

男がフードを脱いだ時、稲妻がはしり男の顔を照らす。

クリスティーヌは息を呑んだ。

顔は傷痕に覆われ、まさに歴戦の勇士といった面構えだった。しかし、男の形相が恐ろしいのは目のせいだった。片方の目は小さく、黒く光っていたがもう一方の目は、目にも鮮やかなブルーで普通の目とは無関係に全てを見張るかのようにグルグルと絶え間無く動いていた。

男はダンブルドアに近付き手を差し出す。ダンブルドアは男と二言三言話すと自分の右手の空いた席へ誘った。

「『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生をご紹介しよう。ムーディ先生です」

静まり返ったなかでダンブルドアの明るい声が響く。

「先程いいかけていたのじゃが」

という言葉でクリスティーヌは我に返る。

「これから数ヶ月にわたり、我が校は、真に心躍るイベントを主催する。今年、ホグワーツで三大魔法学校対抗試合を行う」

「ご冗談でしょう!」と言うフレッドの声でムーディが到着してからずっと張り詰めていた緊張が解けた。

「ミスター・ウィーズリー、わしは決して冗談など言っておらんよ」

フレッドの絶妙な掛け声に笑ってダンブルドアは三大魔法学校対抗試合の説明を始めた。


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