夏休みが始まってから早々にハリーから手紙が来た。いとこのダイエットに巻き込まれてこの夏をニンジンの切れっぱしで生き延びる羽目になりそうだという。

クリスティーヌは、母親にキッチンを借りてマフィンやケーキをありったけ作って送った。

誕生日にもケーキを送ると、ハリーからロンの父親がクィディッチ・ワールドカップの決勝戦のチケットを取ることが出来た為、夏の後半はロンの家にお世話になることが書かれていた。

それを読んだクリスティーヌは『じゃあ、これ以上作る必要はないわね』と言って作りかけのアップルパイを置いた。


学校からの手紙で新学期に必要な物が知らされるとクリスティーヌはダイアゴン横丁に行くことになった。

いつもは母親と行っていたが今回はマークを誘った。

マークは自分が魔法使いではないことを気にしていたがクリスティーヌが、入学する前は両親と来たことを話すと嬉しそうに「じゃあ、行く」と言った。


「クリスティーヌ…。今僕はついて来たことに若干後悔しているよ」

街を歩いていると後ろからマークの恨むような声が聞こえてきた。

『あら?どうして?』

クリスティーヌが振り向いて尋ねるとマークは、

「君達の使う教科書がこんなにも重いだなんて想像してなかったよ」

と言った。そう、クリスティーヌは荷物持ちも兼ねてマークを誘ったのである。

『後、一軒だから許して。ね…?』

とクリスティーヌが言うとぶつぶつ言いながらもマークはついて来てくれた。

新しい教科書類を抱えて歩いていると、「日刊予言者新聞」が目に入った。

クィディッチ・ワールドカップでの恐怖――

見出しの下には梢の上空に、口から舌のように蛇が這い出た巨大な髑髏がモノクロ写真でチカチカ輝いていた。

『すみません。その新聞、一部下さい!』

クリスティーヌが言うと「はい、どうぞ。お嬢さん」と言われ渡される。

「どうしたの?クリスティーヌ?」

急にクリスティーヌの表情が変わった為マークが心配して声を掛けたがクリスティーヌは応えなかった。

記事を一通り読み終えたクリスティーヌは、『最後の一軒、さっさと済ませて早く家に帰りましょう』と言って先を行く。

先程とは打って変わったクリスティーヌの態度にマークは慌てながらもドレスローブ店に入って行った。


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