何も正しくないと思った。カラカラと喉が傷む笑顔に、矛盾と大きな落とし穴を抱えた君に、まるで世界の果てを見たように何も正しくないと思った。夢でもなれたら、目を瞑れたのだろうか。
人は誰しも咲かない花に存在価値を見出だすほど愚かにはなれない。だから僕は生きている。不様に放り出された僅かな不自由にすがりついて、僕は生きている。
窓から零れる微かな光りが埃を星屑に変えてしまう、こんな酷く素敵な夜にでさえも僕は、いつかは明けてしまうという恐怖から、今夜も君にすがりついて体を交わらせながら恐怖から逃避しようと必死になって生きている。
不自由とは甘い快楽だ。奪われるという不道徳な真っ黒の太陽は人間を人から獣へと姿を変化させてしまう。

冷たく乾いた部屋に1人の青年と手足を縛り上げられた少年の交わる声色が響いている。

「、、、っ、、、嗚呼、」

青年が優しく背中に指を這わすと少年は身を震わせた。どうやらかなり調教されているらしい。指ひとつ体に触れるだけでこの溺れようである。相当体に覚えさせられているのだろう。
少年の顔が一瞬月明かりに照らされ、果てた姿を青年にさらした。その顔は酷く美しかった。
青年は快楽に果てた少年に浅く口づけを繰り返すと、縛り上げられた手足をほどき言った。

「お前は人を楽しませることでしか生きていけない笑顔の為の道具だ。だから僕だけの為に生きるんだよ、分かったかい?」

突然与えられた自由に戸惑い、ただ頷き返すだけの少年に青年は酷く無慈悲な愛おしさを感じ、少年を白いパイプベッドに押し倒すと激しく腰を打ち付けた。






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