No child knows how dear he is to his parents.

麗らかな少女は魔法の全てを学んだ学び舎に別れを告げ、今や二児の母になっていた。学生時代を共に過ごした赤毛の友と籍を入れ、小さくとも暖かい家庭を育んでいる。初めてのクリスマス休暇で、あの懐かしの学び舎から戻ってきた上の子は、行きの特急で出会った男の子の話をしてくれた。

「とても綺麗な男の子と友達になったの!礼儀正しいし、同学年の子であんなに紳士的な人は見たことないわ」

熱心に話をする娘の隣では、夫がコーヒーを啜りながら早くも娘に恋人が出来たかのような複雑な表情をしている。
「友達ができて良かったじゃない、ねぇロン」
「ローズはまだ11だぞ。恋人なんて早すぎやしないか」
「パパ、彼は恋人じゃないわよ、まだ」
「まだって...。そいつの寮は?まさかスリザリンじゃないだろうな?」
未だ蛇寮を毛嫌いする夫は、一層苦い顔をして娘を見るが、当の本人はけろっとした顔で言ってのけた。
「スリザリンよ」
「何だって!!?」
「ロン、別に良いじゃないの寮なんて。何も皆が皆悪い奴ばかりじゃないはずよ」
「そうよパパ。偏見は良くないわ。それにスコーピウスはとても優しくて、優秀な男の子よ!」
娘に正論を述べられては手も足も出ない。夫は二杯目のコーヒーを飲み干すとシャワーを浴びに席を外した。
「彼はスリザリンだけど純血主義なんてつまらない偏見だって言っていたわ。そう!彼ね箒の扱いが上手なのよ!」
「それじゃクィディッチの選手に選ばれるかもしれないわね?」

娘が語るスコーピウスという少年は、何処かで「彼」に重なる。母が少女だった頃に恋人だった少年。白金色の髪と陶器の肌を持ち、獅子寮を目の敵にしていたのに私の前では持ち前の紳士さで接してくれた彼。
「青空に綺麗なプラチナブロンドが映えそうだわ」

ああ、娘は今かつて母が惹かれた彼の魅力を受け継いだ男の子に恋をしているのだ。娘とその少年とが惹かれ合うことは、ふたりが生まれた頃から決まっていたのかもしれないとさえ思えてしまう。
「今度、その子をうちに連れて来てね、ローズ」
「うん!」

彼の子はどんな少年になっているのだろう。母は期待に胸をふくらませながら、自分に似た娘を優しく見守ろうと決めたのだった。

END



( スコーピウス、何処かで聞いた気が )
( 恐らくマルフォイの息子だろうね )
( マルフォイだって!!!?ハーマイオニー大変だ!!! )
ロン→ハリー→ロン


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