バカ、意識しすぎ
( 初々しい恋10題 )

「穢れた血」
この言葉を初めて耳にしたのは、いくつの頃だったのか。初めて僕が口にしたのは、グレンジャーに向けてだった。初めてその言葉を吐き、彼女の反応を確かめることで、僕はその言葉の本当の重さを知ったのだ。

思い返すと、ものごころがつく前から両親を始めとした周りの人間から純血主義を刷り込まれ、それに何の疑念を持つこともなく僕は生きてきた。

「魔法族は選ばれた血筋」
「魔法は然るべき血を持つ者にのみ与えられるべき」
そんな揺るぎない思想を持つ家に生まれた僕は、流されるように純血な魔法族である事を誇りに思い、マルフォイの名前にしがみついていた。

「何よ、あなただけじゃ何も出来ないくせに」
グレンジャーのその高潔な目に僕のすべてを見透かされ、自分の無力さを突き付けられた僕は何も返答できなかった。

その僕は今、グレンジャーに恋をしている。何もできない、勇気もない意気地なしと彼女に言われた僕がだ。
そして自惚れでなければ、彼女も同じ感情を持っている。

「なぁ、グレンジャー。今日も髪が豊かだな」
「...それはからかっているの?」
「僕は髪を褒めているんだよ」
「...あなたの髪はいいわね、扱いやすそうな白金色で」
「そうか?僕は君の栗毛の方が魅力的だと思う」

グレンジャーの髪を一筋指に絡める。俯く彼女の表情はわからない。でも覗く耳がほんのりと赤く染まっていた。

「グレンジャー、」
赤く染まる耳に

「意識しすぎ。可愛いけど」


END


( なななんなのよマルフォイっ )
( ハーマイオニー、どしたの? )
( 何でもないわよ!!! )

ハー→ロン→ハー

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