( A tearful parting )
「...お願い、傍にいさせて」
ドラコの手を握り返し、瞳をうるませるハーマイオニーは真剣だった。ドラコが口を挟むのを許さないかのように言葉を紡ぎ、必死に懇願している。
「やっと会えたの。ずっと待っていたのよ、あなたを。もう離れたくないの。あなたの傍で生きていきたいの」
「...でも、君の家族はどうする。ウィーズリーとの幼子もいるだろう」
哀しみを含んだ微笑みを浮かべる彼は、目を伏せて告げる。
「...でも」
「君は、子供たちを僕なんかの為に見捨ててはいけない。今は、些細な衝動に支配されているだけなんだ」
ハーマイオニーは、ドラコの顔を見ることが出来なかった。彼と一緒にいたいという心と別に存在している家族に対する気持ちをドラコに言葉にされ、涙が止まらなかった。
「...気持ちだけで、嬉しいよ。それだけで僕は生き延びられる」
頭に彼の手がのせられ、ハーマイオニーは変わらないドラコのぬくもりを感じた。
「ごめん、ずっと愛していた。君だけを想い生きてきた」
「それはわたしだって、」
ハーマイオニーの唇にドラコの指が触れる。
「だめだよ、言葉には魂が篭る。今は聞いていてくれ」
「戦争が終わり、僕は隠れて暮らした。いつか迎えに行ければと思っていた。でも、君に忘れられていたらと思うと怖くて、そのいつかを先延ばしにした。自業自得なんだ」
「今まで君たちに絡み、突っかかり傷付けてきた僕への罰なんだよ」
彼女の唇から頬に指をうつす。
「...ハーマイオニー、今まで本当にすまなかった。そしてずっとずっと愛していたよ」
「さようなら、ハーマイオニー。......」
「ドラ、」
彼は、忘却呪文を口のなかで唱える。
静かに涙を流しながら、自らの想いと共に彼女の記憶を閉じ込めた。
To be continued...
20150301加筆修正
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