( St. Mungo's Hospital )
季節も移ろい、過ごしやすかった風も冷たくなった頃。ハーマイオニーは今日もまた、ガシガシとデスクワークをこなしていた。
「...ふぅ、今日の所はこれくらいかしら。そうだわ、夕飯の買い物しなきゃ」
そう独りごちて周りをみると、残業をしない同僚たちのデスクはもぬけの殻で自分が時間を忘れて没頭していたことを知る。
「もうこんな時間!」
急いで支度をし、魔法省から飛び出すと彼女が向かったのはダイアゴン横丁。必要な食材を買い、バッグに詰め込んでいると近くにいた中年魔女たちの噂話が聞こえてきた。
「聖マンゴに、あの一族の息子が入院したんだってよ」
聖マンゴとは、聖マンゴ魔法疾患傷害病院のことで魔法界いちの総合病院である。
「あらぁ。あそこの息子さん性格悪いけど美青年で有名よね?名前は何て言ったっけ...確か、マルフォイさんとこの...」
「(マルフォイの名。なんて、久しぶりに聞いただろう。と言うより、入院ですって?!)」
思わず持っていたバッグを落とし、顔を赤くしたハーマイオニーは急いで林檎やらオレンジやらを拾い上げ、気が付くと聖マンゴ病院の前に立っていたのだった。
受付で部屋番号を聞くと、今は会えないと言う。彼は集中治療を受けており、意識も失ったまま何日も眠っているとのことだった。
「(何故彼が、それほどの怪我を...)」
彼女は家に帰っても、その事で頭がいっぱいでロンや子供たちの話もほとんど耳に入らなかったのだった。
「(とりあえずまた明日、会いに行ってみよう)」
そう結論づけ、彼女は少し湿り気のあるベッドに潜り込んだ。
To be continued...
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