ローズの花束


「ママー!見て見て〜!!」

ある日、娘が髪を振り乱して 私の部屋に駆け込んできた。

「あらあら、どうしたのかしら?」

恥ずかしそうに笑いながら、背中から 隠していた花束を出した。

「えへへ。もらっちゃった!」

「まぁ...!ローズ、誰から頂いたの?」

娘は、かかえる白薔薇の花束に 埋もれそうになりながら顔を真っ赤に染めた。

「ボーイフレンドでも出来たの?」

「う、うんっ」

「そう、よかったわね。それにしても 白い薔薇、久しぶりに見たわ〜」

「ママも、もらったことあるの?」

「えぇ、昔の恋人にね。まぁ、 もらった時はまだ友達だったけれど」


プラチナブロンド、空色の瞳。 忘れられない、昔の恋人。


「ローズ、白薔薇の花言葉はね 『私は貴方にふさわしい』というのよ。 その子と上手くいくといいわね?」

「うんっ!!」


あの頃は私たちふたりに、 出来ないことなんて無いと思っていた。 でも成し得なかったことはたくさん、ある。

ローズ、私たちが叶えられなかったこと あなたはやり遂げて?


あなたは最後まで、想い続けて。



END





2013/03/23〜2014/07/27 clapお礼文 掲載


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