僕が恋煩いとか、笑うだろう?
( 恋に溺れる彼のセリフ )
「なぁ、お前。そこで何をしている?」
オレンジ色のけむくじゃら。あいつの飼い猫の、確か 名前はそう、
「クルックシャンクス。お前の主人はどうした?こんな所にいると、蛇寮のやつらに虐められるぞ」
そっと、彼に手の平をのばして触れてみる。ずっとここで日向ぼっこをしていたのか、暖かい毛並みが心地良い。主人とそっくりな、ぼさぼさの彼を撫でているとやはりあいつを思い出す。
「なぁ、あいつは何であんなにおしゃべりなんだ?僕が考えないようにしているのに声が耳に入ってきて、イヤでもあいつを思い出してしまう」
「な゛ーご...」
「それに、誰にでもにこにこするくせに、僕にはその笑顔が向けられた事なんてない」
「...に゛ゃー」
「いつも、隣りにはポッターとウィーゼルがいて、話し掛けようにも嫌味しか出てこない」
あぁ、僕は猫になんでこんな愚痴をこぼしているのか。どれもこれも悩みは全て、あいつに関わることばかり。
「...お前は、僕が恋煩いとか笑うだろう?それも全てお前の主人のせいなんだぞ」
ぼさぼさでぽかぽかの猫を撫でている僕は、傍の木々の影に猫を探しに来たグレンジャーが、真っ赤な顔で聞き耳を立てていたのは知りもしなかった。
END
( どうしようどうしようどうしよう )
( に゛ゃーご )
( こっち見ちゃだめよ、クルックシャンクス! )
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