彼が猫になっちゃった!
( 彼と彼女のファンタジーな展開7題 )
「ん?なんだ、これ」
ある日、魔法薬学の机の中に香水のような小瓶が転がっていた。その中にはオレンジ色の液体が入っており、蓋を開けて嗅いでみると陽だまりのような匂いがした。
「...いい匂いだ」
まるでグレンジャーが僕の隣にいるみたいだな。
夕食を終えて 寮の部屋に入り、香水を着けてみると急に視界が歪み、身体が熱くなり、気付くと絨毯に寝転がっていた。
頭をかくと、触った手がぷにぷにしている。
...何だ、このぷにぷにとした手...もしかして、肉球?!
あわてて鏡を見てみると、案の定僕は金髪の猫になっていた。
言葉も話せないようだし、とりあえず一番頼りになる人の所に行こう。
図書館の近くまで来ると、すぐグレンジャーを見つけられた。
「あら、綺麗なにゃんこ!」
「にゃあ!」
にっこりと微笑んで僕を抱き上げ、鼻にキスをした。いつもなら君からしないくせに。
「なんかマルフォイみたいだわ。首輪..していないのね...。クルックシャンクスと友達になる?」
彼女は鼻歌を歌い、腕に抱えた僕を揺らしてスキップしながら寮に向かった。
ちゃんと、僕だって伝えなければ!
彼女の部屋に着くと、クルックシャンクスが擦り寄って来た。おそらく懐かせるために高価なエサをこっそりやっていたからだろう。まったく、現金なやつだ。
「珍しいわね?初対面の子に懐くなんて」
ごぎゃーと変な声で鳴く、この大柄な猫を避け彼女の顔を見上げるとおいで、と手を伸ばしてきた。
「プラチナブロンドだし、瞳も空色...。本当に、マルフォイに似てるわねぇ?」
はにかむ彼女が愛しくなり、口元を舐めてみた。くすぐったいのか、ベッドに転がると僕を掲げるように腕を伸ばした。
「なんか、会いたくなっちゃったなぁ」
すると、また視界が歪み、今度はしっぽの根元がちぎれるように熱くなった。も、戻れるのか?!
ぼんっ...
元の姿に戻った僕は、彼女の上に覆い被さってしまった。
「きゃっ...! マルフォイ?!貴方、ここグリフィンドールよ?!何故ここにいるの?!」
「僕は猫になってしまっていたんだ!」
「あら、さっきのにゃんこ?やっぱりマルフォイだったの?」
「...あぁ」
ポケットに入れていた小瓶を彼女に見せると、この香水の正体が分かった。どうやら悪戯専門店の商品で、効果はつけてから15分程度で身体に害はないらしい。
「ふふ、可愛いかったわ」
「当たり前だ、もとは僕だからな!」
「照れなくてもいいのよ?というより、はやく降りてちょうだい」
「あぁ、すまない!」
「えいっ!」
「わっ!!」
猫姿がよほど気に入ったのか、僕に香水を吹きつけ抱きしめてきた。彼女から包み込むように抱きしめられると、甘い匂いと柔らかい感触がしてふにゃふにゃな気分になる。
「これ、私に譲って!そうしたら、ずっと貴方と一緒にいられるわ」
「に゛ゃっ?!」
その時一瞬猫もいいな、と思った気持ちが消え、元に戻ったら一刻も早く香水を処分しようと決意したのだった。
END
( ね、ロン!今度、悪戯専門店いきましょう。 )
( え、なに急に。 )
( おいっ、赤毛!その誘いは断れっ!! )
( ...よし行こう、ハーマイオニー! )
( ...っっ!!! )
ハー→ロン→ドラコ→ロン→ドラコ
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