敵対していたファミリーが総出でボンゴレに奇襲してきた。

ボンゴレに奇襲してきた目的は二つ。
一つはボンゴレファミリーの十代目ボスのオレ、沢田綱吉の命を奪うこと。
もう一つはボンゴレ星の守護者兼歌姫の星野光理を奪うこと。

光理は星の守護者として申し分ないほどの実力を持っている。
実力は最強の守護者と謳われているヒバリさんと一、二を争うほどだ。
そして光理の歌声には癒しの力がある。
怪我人や病人を治す力を持っていて、その力を欲しがっている連中がたくさんいるから困っている。

「…案外、手応え無かったかな」

ファミリー総出で奇襲してきたほどだから、久しぶりに期待出来るのかな、と思っていた。
だけど今さっき無線でリボーンに状況を聞いたところ、ほぼ鎮圧したとのこと。
まあ、相手が世界最強のボンゴレファミリーだ。そこら辺の中小マフィアが敵う相手じゃない。相手が悪かったね。

そんなことを呑気に思っていたオレは、背後から銃を持った敵が近付いていることに気付かなかった。

「ツナっ!」

オレの名前を呼ぶ声と、銃声を聞くまでは―――


「……光理…?」

後ろを振り返った同時に、見慣れた空色の髪とシャンプーに匂いがオレの胸に倒れこんできた。
オレは反射的に受け止めると、胸元を血で赤く染め上げている光理がいた。
光理は華奢な体でオレを庇って、代わりに拳銃で胸元を撃たれた。

「…光理! 光理っ!」

名前を何度か呼ぶと閉じていた瞼がゆっくりと上がって、綺麗な金色の瞳にオレが写った。
でも意識が朦朧としているのか、目の焦点が合っていなかった。
それでも光理はわなわなと震える手でオレの頬に触れた。

「ツナ、大丈夫…? 怪我とか、してない…?」
「オレのことより自分の心配しろよ! どうしてオレを庇ったんだよ…ッ!」
「ツナは、ボスなんだよ? ボスを護るのが、アタシの…守護者の仕事」
「だからって…!」
「アタシは…ぅ…嬉しいよ? 最後にツナを、護れ…んだから」
「……最後ってなんだよ。今にも死ぬみたいな、そんな言い方するなよッ!!」

「ツナ! …光理!?」

首だけ後ろに向けると、リボーンと少し遅れて守護者のみんなが来た。
リボーンの手には愛用の銃が握られていて、少し煙が出ているところを見ると、今さっき発砲したに違いない。
きっとオレを撃ち殺そうとした奴を、リボーンが片付けたんだろう。

駆け付けたみんなは胸元から血を流している光理を見て言葉が出ないらしい。
今にも泣きそうな奴もいれば、驚きのあまりかその場に硬直している奴もいる。


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