「星野三席、こんにちは!」
「こんにちはー」
「さっきの歌、とても素敵でした!」
「星空祭、頑張って下さい! 応援してますっ」
「ありがとう!」

光理は穿界門に向かう途中、同じ隊た他隊、上司や同期に部下、男女問わずにたくさんの人たちに声を掛けられていた。
本人に自覚はないが、光理は尸魂界一と言われるほどの美人だ。
その上、誰とでも分け隔てなく接することで、たくさんの人たちに好かれている。

「光理ちゃーん」
「きゃっ!?」
「相変わらず光理ちゃんは抱き心地がええなあ」
「いっ、市丸隊長! いきなり抱きつかないでください!」

それはもちろん、隊長各も例外ではない。
光理を後ろから抱きしめている三番隊隊長・市丸ギンも、光理を狙っている人の一人だ。
同じ隊長各でも日番谷と幼馴染み兼同期のため普段どおりに接しているが、市丸は幼馴染みでも同期でもない。
そこはあまり慣れない敬語を使って上司として接しているが、市丸はそんな光理の気遣いを無視して過激なスキンシップをしてくる。

「市丸隊長」
「ギンでええよってゆーたやろ?」
「隊長相手にそんな恐れ多いことはできません。これから駐在任務で現世に行かないといけないんです」
「なんで光理ちゃんが駐在任務しはるん? まだやってへんの? それと穿界門はこっちやなくてあっちやで?」

市丸は光理は抱きしめたまま、片手で穿界門がある方向を指差した。
光理は「また迷子…」と落ち込み気味に言うと、顔を上げて市丸隊長を見た。

「駐在先の虚が少し強いらしく、シロ…じゃなかった日番谷隊長に適任だといわれたんです。迷子の件についてはスルーの方向ということでお願いします」
「相変わらずの方向音痴なんやね? 駐在任務は十番隊隊長はんの仕業かいな。でも
、まだ―――」

「市丸、貴様何をしている?」
「…げっ」
「砕蜂隊長!」

光理と市丸の前に瞬歩で現れたのは、二番隊隊長・砕蜂だった。
砕蜂が現れて市丸には悪いと思いながらも、心の底からほっとした光理だった。
そんな光理とは反対に、市丸は砕蜂が現れたことに酷く顔を歪めた。
その理由は二人の仲が昔から悪いからだ。それも超が付くほどの悪さ。
そして二人とも光理のことが大好きなわけで、光理が絡むとさらに酷くなる。


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