「あ、あんどうっ・・!」
俺は今、何をされた?なんですぐ間近に安藤がいたんだ?

・・・もしかして・・・・・・。いや、男同士だ、あり得ない。安藤が俺に口づけてきたのは俺の勘違いだ。
でも、唇にはあの独特な感触が残っている。
安藤、お前どうして・・・?

「あー可愛いねぇ・・・」
安藤はそう言うと俺の両腕をつかんで動きを封じた。爪が食い込むくらい強くつかまれて、痛い。

俺は安藤に何をされるか分からなくて必死に抵抗した。でも、安藤の力は俺よりはるかに強く、俺はあっさりと安藤に押し倒された。
安藤の顔に影ができていて良く見えなかったからなのか、安藤に恐怖していた。

俺の腕は震えていて、抵抗しようと思ってもなかなか思うようにいかない。
「そう怖がるなって」
安藤はそう言うと俺に顔を近づけてきた。何をされてしまうのか分かったけど、逃げることはできなかった。

「・・・っ・・・!」
苦しい、とても苦しい。息ができない。安藤の唇が俺の唇に重なっている。安藤の表情がにやついていることが分かる。

「・・・く、くるし・・・、あん・・・どう・・・」
「っ、ほらよ・・・」
安藤は一瞬顔を歪めたが、唇を離してくれて俺はようやく呼吸することができた。

「喜多は、キスがヘタだねぇ。俺がキスの仕方をちゃんと教えてやるよ」
安藤の俺の腕を握る力がまた更に強くなる。安藤はまた、俺に口づけしようとしてきた。

「馬鹿なことは・・・やめろ・・・」
「ふーん?やめてほしいのか?だったら抵抗してみろよ、ほら。いやなんだろ?」

俺は大分疲れていて、抵抗しようと思ってもできなかった。安藤はそれを良いことに俺の頬を舐めてきたりしてきた。
ぬるぬるという感触がして気持ち悪かった。安藤はそれを快感に感じているのか、首や耳とかもなめはじめた。
俺はくすぐったかったから、顔を左右に振ってやめてほしいといことをジェスチャーで表した。

「だめ、だ。お前、浮気するだろ」
「おっお前と付き合ってるわけじゃないのに、浮気もくそもあるか・・・!」
「お前は俺だけのものだ、他の奴らを見るな・・・。もし浮気したら、お前が嫌なことするからな」

歪んでやがる、安藤は俺のことを男だと分かっていながら欲している。
悔しいけど、もうこれ以上変なことはされたくない。

「・・・じゃあ、俺がお前だけのものになったら変なことはしないんだな?」
安藤は舌をペロリとだして唇を少しなめた。俺は寒気と嫌な予感がした。
「ああ、そうだ。・・・俺のものになるのか?」
「お前がもう変なことはしないなら、な」

「ああ、分かった」
安藤がようやく手を離してくれると思ってホッとしたのもつかの間、安藤は俺の首もとに顔をうずめていた。
暴れようとしても、手は安藤に捕まれている。

変な感覚がした。くすぐったいというか痛いというか。どちらかと言えば痛い。
「やっやめ・・!約束が違うだろ・・・!」
「ああ、もうこれ以上やらない。お前が俺のものだっていう証拠をつけていただけさ・・・」

俺の首には安藤がおとした赤い印がついていた。
安藤はそれで満足してくれなくて、俺の首をみていやらしいな、と呟くとまた俺の唇を奪った。
俺の目からは涙が流れていた



  
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