ネネがアイドルとして活躍しているのを知ったのは、大決戦が終わってから数ヶ月後のことで、本人の口から聞いた。
恋人がまさか、こんなことをカミングアウトしてくるなんて思ってもみなかったし、今日の今日までそのことを秘密にしていたというので苛立った。
でも、俺は冷静でなくてはならない。ここで口調を乱したら、ネネはきっと不安がるだろう。

「そうか、頑張れよ」
俺はそうとしか言えなかった。他に言うことが見つからない。
「あ、ありがとう……」
ネネは俺がもっと気の利いた言葉を言うと思っていたらしく、しょんぼりと肩を落としていた。

俺ができることと言えば、雑誌とかでネネの活躍を見ることくらいしかできなさそうだ。俺らの関係って結局そんなもんだったんだろ?
ネネが俺に秘密を作っていたりとか、付き合っている同士がするもんじゃないと俺は考える。

これからは別々の人生を歩んでいくんだな。
ネネはきっとどこかで俺よりすばらしい男を選んで、家庭を築いて子供をつくって…。今は具体的に想像なんかできやしない。
でも、きっとこうなるんだろうな、とは思った。別に絶望しているわけじゃない。

ネネがそれで幸せなら、俺は絶望なんかしないさ。それは希望となるんだよ。



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