円堂と冬花

とびきりの笑顔で渡されたものはかわいらしい花だった。ジャパンエリアでは売ってないようなかわいらしく小ぶりな花。とても円堂の趣味ではなさそうだ。

「かわいいだろ!」
「うん、かわいい。だけどどうして急に?」

円堂はカレンダーを指差した。2/14、それは今日の日付だった。ずっと心待ちにしていたバレンタインデー。それと花束とどう関係あるんだろう。自分の誕生日ではまずないし、他に何かの記念日であるとも考えられない。

「フィデオから教えてもらったんだけどさ、外国ではバレンタインデーの日には花束を渡すらしいんだ」
「へぇ、そうだったんだ。じゃあ私も渡すね」
「あ、あのさ、冬っぺ。外国では男の人から女の人に渡すのが当たり前らしくて…。別に交換するとかそういうのじゃないんだ」
「そうなの?全然知らなかった。」

――じゃあ、外国では仲の良い女の人に渡すのね
いや、そうじゃなくて。……、特別な人に渡すんだよ、ふゆっぺ。




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