神童と水鳥と天馬

※意味不明





いいんですか、先輩。天馬は怪訝な顔をして水鳥にそう聞いた。水鳥はしばらく顔をうつむかせていたがようやく決心がついたのか、いいんだ、と短く言った。

本当は神童を見られたり写真をとられたりするのが嫌いなはずなのに強がりでそんなことを言ってしまう水鳥の姿は天馬にはおかしく見えた。自分だったら無理にでも見物人たちを追い払ったりするのに。

同じ部活に入っている水鳥の同級生の山菜茜
は水鳥と神童が付き合っているというのを聞いてからはあまり写真を撮らなくなった。撮りたくてたまらなかったのだが、大切な友達に嫌な思いをさせたくはないためそうしたらしい。でも水鳥は茜だけは神童の写真を撮っても怒ったりイライラしたりしないと言って前のようによく写真を撮るようになった。

「先輩、本当は茜さんにも撮らせたくないんですよね」
「んなこたねえよ」
「・・・そうですか」

天馬は水鳥のその言葉が本心ではないということはとっくに分かっていたがこれ以上水鳥を責めるわけにもいかなく、しょうがなくそれ以上の追求はしなかった。

ぼんやりと無意識に神童を見ている水鳥の顔が天馬は好きだった。そして神童の取り巻き達を嫌そうに見ている顔も好きだった。

いつものようなキツそうな顔ではなく、普通の女の子のような表情を時折見せるのが天馬にとってたまらないものだった。

ころころと表情が変わる水鳥の顔を眺めるのが好きだからといって、水鳥が想っている人が自分以外の誰かというのは天馬は嫌だった。その視線の先が自分だったらどんなに良いだろうか。

天馬は神童と茜を見た。この二人が付き合えばいいのに、そうすれば先輩はふりむいてくれる。

「お似合いですよね」
「なにが?」

キャプテンと茜さんの二人、と言おうとしたが天馬は水鳥と神童が付き合っているという大事なことを思いだし、一回口を閉じた。キャプテンと茜さんがお似合いと言っても周りから見れば友達とかによく使われるお似合いという意味にとられてしまうじゃないか。

「キャプテンと、水鳥先輩、」
そう天馬が言うと水鳥は頬を少しだけ火照らせ天馬の背中をわざとらしく叩いた。



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拓水←天




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