吹雪と春奈

※オチなし
※意味不明





玄関を開けると君がまっていてくれた。


「こんにちわ、吹雪さん」
「急にごめんね」


親とは離れて一人暮らしをしているという彼女は、慣れた手つきで紅茶を淹れる。
タージリン。僕はアールグレイの方が好きだったけれど、それは言わないでおこう。


「ねえ春奈さん」
「はい?」
「僕がどうしてここに来たか分かる?」


僕が名前を呼ぶと、なんの違和感もないかのように笑みを浮かべた。
春奈さんは鈍感なんだから僕がここに来た理由なんかわかりゃしない。


「えっと、白恋中のことで…ですよね?」
「まぁ、意味としてはあってるかな?でも、春奈さんは勘違いしてるよ。僕がいった『ここ』っていうのは東京のことじゃなくて、春奈さんの家のこと」
「あ〜…、分かんないです。どうしてですか?」


ほらね、やっぱり。
君はある意味僕の期待を裏切らない。


「…春奈さんは僕がフィフスの幹部だとしたら、どうする?あ、もしも、の話だからね」
「え〜!……どうしましょう…」

えへへ、とのんきに笑っているけど、僕は結構本気なんだけどなぁ。
彼女はどうでるのかな。


「幹部の僕は雷門中サッカー部の活動を停止させれる権限があるとします。反乱している君達をひねりつぶすことができますが、条件を飲んでくれるならばそれをやめるとします。さて、君はその条件を飲むかい?」
「……はい…」


彼女の決心はとても固いものだった。やっぱりサッカーが大好きなんだね。あの頃と変わっちゃいない。
君の答えは模範解答だけど、僕としてはとても残念だ。がっかりだ。
僕はゆっくりと春奈さんに近づくと、春奈さんはその変な雰囲気を感じとって後ろに退いた。


「どうして逃げるの?」


ぎゅ、と春奈さんの片方の腕をつかむ。春奈さんはつかまれてない腕で僕のことを押しのけようとしたけど無理無理。
男の僕に力でかなうはずがないんだよ。

「ご、ごめんなさい…。離して…!」
「ヤダ。…その条件っていうのが『体で代償しろ』というものです。ほら、はやくしないと雷門中のサッカー部がどうなるか分からないよ?」
「っい、いやっ…!やだ!離して!」


嫌がったらダメでしょ春奈さん。君が条件飲むって言ったんだから、ちゃんと約束は守らないとね。僕は春奈さんにそう言い聞かせた。
春奈さんは必死に抵抗していたけど、やっぱり僕の力のほうが強くていつの間にか春奈さんは僕の下に崩れて仰向けになっていた。涙が頬と伝って髪の毛へと吸い込まれた。抵抗していたものの力は大分弱まっていた。

「……条件を飲めばサッカー部を守れるけど、君は本当にその条件を飲むの?」

最後にもう一度聞いてみた。
これで春奈さんはどうでるんだろうか?

「はい…」

目をゆっくりと閉じる君は今までにないくらい綺麗だよ。
長いまつげに少し整えられているまゆ、筋の通った鼻……。


君がそんなことをすることを誓ったら、何人もの人が悲しむと思うんだい?
鬼道くんはもちろん、木暮くんや円堂くん、そして僕も悲しむ。
そのことを君はちゃんと理解している?

本当は少しだけからかうつもりだっだけど、こんな機会はめったいにないから僕は春奈さんの少し露出した首に唇を落とした。
やっぱり無理です、と涙ながらに話してくれる君の姿を想像したけれども君はそんなことを言わなかったし言う気配もなかったから、僕はひどく落胆した。







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