優一と冬花

※意味不明、オチ無
※優一→冬花→円堂×夏未という設定






「え…?冗談だよね?」
「いえ、俺は本気ですよ」


にこにこと笑っているこの子は案外腹黒いのかもしれない。
車椅子に乗ってどこかに行きたいといったから、病院の外の広場のようなところにつれだした。
くるりと車椅子を器用に扱って私と対面する形をとった。


「あんまり年上の人をからかっちゃだめよ?」
「分かってませんね。だから、俺は本気ですって言ったじゃないですか」
「優一くん、あなたは若いんだからそう思ってるだけ。恋に恋してるだけよ」
「俺が恋してるのは恋じゃありません。俺が恋しているのは俺の目の前にいるあなたですよ。」

私は次に出す言葉が思いつかなかった。
なぜだか悔しかった。年下の子どもに勘違いをさせてしまっている自分がいることに。
悔しかった。


「優一くん、いずれ後悔するわよ?自分が本気になっていると思っているだけで、それに気づいたときの反動は大きいわ」
「あなたはそうやって俺と向き合おうとしない。本当は怖いんですよね?あなたは誰かを愛するということを恐れているだけなんじゃないですか?」

ぎり。歯軋りを、した。

「ええ、怖いわ、とってもね」
「どうして怖いんですか?」


子どもって時には残酷ね。直球に聞いてくる彼の言葉は私の胸に突き刺さる。
とっても怖いのよ。恋愛するっていうのは。
私が恋に気づいた時は、もう想い人が誰かのものになってからだもの。

「…子どもなあなたには分からない話よ」
「じゃあ、さっきの俺の告白に答えてくださいよ」
「…………」
「……逃げないでください」
「………………」
「………」
「…………答えはNO…よ」
「……。そうですか、やっぱり」

やっぱり?どうして、やっぱり、なの?

「冬花さんはそう言うと思ってました」
「どうして分かったの?」
「なんとなく、です。ダメ元で言ったんですけど、やっぱりダメでしたね」
「……ごめんね、こんな私で…」

誰かを愛することを疲れた私を好きになる事は無駄な労力。
あなたが私のそれに気づいた時はもう遅い。きっと私というかごから飛び立ってしまう。皆そうだったから。

「でも、俺あきらめません」

力強くそう言ってくれた優一くんも、いずれは皆と同じように私からはなれていくに決まっている。
私を救うことができたのはあの人しかいなかった。もう過去のことだけれど。
もう一つの未来があったのならば、最後までちゃんと私を助け出してほしいなぁ。







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