錦と水鳥






「おまんのスカート、ながっちょろいなぁ」

隣の席に座っている錦に話しかけられて水鳥は少し驚いた。
いつもは自分から話しかけるほうで、錦から話しかけることは少なかったからだ。
しかも授業中。錦は何事にもまじめに取り組むのだから、本当に珍しいことだった。


「あ?ダメかよ」
「駄目っちゅーことじゃないけん、でもなぁ、ワシは女の子は脚が見える方が良いと思うんじゃ」

錦はシャーペンの先で水鳥のスカートをトントンと軽く触れる程度に叩いた。

「なんでだよ」
「だって、時代おくれな感じがするじゃろ?」

水鳥は錦に対して、お前が言うなよと思った。
錦が残念そうにスカートを見ているので、水鳥は一瞬だけスカートをあげて脚を見せた

「ほら、どうよ?あたしの美脚は…………ん?どうしたんだ?」

錦が左手で鼻を押さえているから水鳥は疑問を持った。
「すまん…。ノーサツされたぜよ…」

たらり、と錦の鼻からは赤い血が流れた。




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