霧野と茜

※gdgd





「ねえ何で神童のファンなの?」

彼女はうーんと首を捻ってしばらく考え込んでいた。この彼女はマイペースなわけでして、いろいろなことをするのにとても時間がかかる(しかし、神童に関係することとなれば目を疑うほどのスピードだ)。

「えっと、分かんない」
「は、はい?」

茜ちゃんはそれだけ言って微笑んでいた。俺もつられてはにかむ。なんだそりゃ、フツーは理由あるだろ、と俺は聞いてみたがやっぱり具体的な理由はないらしい。

「ズバリ聞くけど神童のこと好きなの?」
「うーんとねー...。好きだけどそれはファンとしてだから...。あ、でもそれって結局好きってことだよね?」
「そ、そうなるな...」

俺はほっと一息ついた。うん、大丈夫。これならいける。
茜ちゃんの本命は神童じゃないってことだ、きっと。でもきっと鈍いから気付かないんだろうな

(ずっと好きでした、茜ちゃん)
って、言えたらいいのになぁ...。
俺は隣の君との少し不自然な距離幅を縮めて並んだ。




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