吹雪と春奈

彼女はいつも笑っていてハキハキしていて、とにかにく元気な子だった。笑顔が素敵で僕はそれに惹かれていた。
隣にいても彼女は僕に媚びを売ってこないし、ブリっ子もしてこない。僕は素を見せてくれる彼女を気にいっていたけれども、裏返しの意味にすれば僕に気がないってことだった。
春奈さんはいつも鬼道くんの方を気にしていて、はたから見ればブラコンだった。そろそろお兄さん離れをしたらいいんじゃないのかなと思ったけど、長い間離れて暮らしていてブランクがあったからそれはしょうがなかった。
二人のように僕もアツヤと再び出会いたい。僕がスノーボードをしているときに颯爽と現れて、久しぶりと声をかけてほしかった。実はあの事故のあと、他の人に助けられて今の今まで死んでいたことになっていたら良かった。でも、そんなことはあり得なかった。確かにアツヤは死んだ。それは紛れもない事実だった。
彼女が彼しか見ていないのも事実で、そんな彼女を僕が見ていても意味がないことも事実で。でも、可能性がないわけではないのも事実だ。

「春奈さんは、鬼道くんのことが好きなんだね」
「はい!・・・でも、急にどうしたんですか?こんなことを聞くなんて」
「なんと、なく」

僕は、春奈さんの本当の気持ちが気になっていた。本当は好きなのか、嫌いなのか。でも聞いて分かった。春奈さんは実の兄のことが好きで、好きだということが。
本当は言えないけど、僕は鬼道くんのことがとても羨ましかった。僕が気に入った子は、例外なく僕のことを好きになっていたんだから。

「君たち二人が兄妹でよかったよ」

だって兄妹は結婚できないものね。




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