円堂と秋

……まだ、…どきどきしてる……
私は心臓に手を当てて心地よくその不規則なリズムを聞いていた。


一緒に並んで歩くだけでも疲れるくらい十分に幸せなのに、さらに手までつないでしまうなんて…。手のひらにはまだあの人のぬくもりが残っていて今でも手をつないでいるように感じる。あの、暖かい手の感触が。



――秋、手をつなごうか

また、あの場面が、再生される。
周りの雑音から混じって聞こえてきたその言葉はクリアに聞こえた。

その握った手は冷たかったけど、私にとっては暖かくて嬉しくて。
はじめはただ手を軽く握るだけだったのに、街で恋人達をすれ違うたびに手をからませていき指一本一本を意識した。

手を握ってても顔を合わせることはできなくてそっと目をそらしたままだった。
でも幸せだった。


――秋、だいすきだ
その言葉を聞いて涙がぼろぼろとあふれてきた。
痛いんじゃない、悲しいんじゃない。嬉しくて涙がでる。

「私も大好きだよ、円堂くん…」
ぎゅっと手を握った。



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はじめは一秋の予定でしたが、円秋のほうがいいなかぁって思って円秋に変更しました。




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