錦と水鳥

どうも錦にイタリア留学の話が来ているらしい。勉強とかじゃなくてもちろんサッカーでだ。つい最近あっちから帰ってきたばかりなのにとんぼ返りだと錦は苦笑していたが嬉しそうにも見えた。やっぱりサッカー馬鹿だ。

イタリアに行く一週間前になると錦の高いテンションはさらに高くなっていて部活でも十分すぎるくらいに活躍してた。イキイキしてる錦は見てて飽きることはなく面白かったけどあと一週間しかそれを見れないと思うと胸が苦しくなった。

「瀬戸は、日本人が世界で活躍してたら嬉しいか?」
「当たり前じゃん」
「じゃあワシ頑張る。瀬戸の嬉しそうな顔が見たいんじゃけん」

う、と思わず声に出してしまった。それって告白みたいじゃん、という本心をいかにも冗談っぽく錦に言うと部活やってるときの顔とは違った真剣な顔でそうじゃよ、と言った。私はその真剣な顔が怖くて目を反らした。実際は真剣な顔じゃなくて現実を見るのが怖かっただけだ。

「ね、ねえ錦」
「リョウマ、・・・って呼んでほしいぜよ」

リョウマ、と久しぶりに呼んだ。

はやくプロになって世界で活躍するじゃきに。水鳥を世界に連れていきたいからプロになったらずっと一緒にいてほしいぜよ。リョウマは珍しく恥ずかしそうに言っていた。

「プロポーズみたいじゃん・・・」
自分も恥ずかしくなったのか顔が火照ってきた。




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