佐久間と春奈

佐久間さん、ちょっといいですか?と言われたらだめだと言えないのがこの俺だ。その理由は女の子だし鬼道の妹だし少し気になっている子だったからだ。
いつもの緑系のジャージを着ていて特に変わった様子はなかったけど、顔がとても赤いのは普段とは違うところだ。俺は真っ先にそこに気付き、どうしたと声をかけた。すると彼女の顔は更に赤くなり、彼女は手をうちわ代わりにしてパタパタさせて顔の熱を冷まそうとしていた。それだけでは彼女が何を言いたいのか分からないから俺はまたどうしたんだと聞いた。
「さっ佐久間さん...私、佐久間さんのこと好きです...」
「......え?」
彼女は俺の顔を見てくれなくなった。少しうつむいたまま唇をぎゅっと閉じて目からは涙があふれそうだった。俺が泣くなと言って彼女の目を人差し指でそっと拭いてあげたら、涙は止まるどころかあふれ出してきた。
「佐久間さんはやさしすぎるんですよ...。だって好きでもない人にでもこんなこと簡単にするんですもん......」
俺は泣いている彼女を慰めながら、彼女にバレないようにため息をついた。
「......好きだから、だよ」
俺がそう言っても彼女はまだ泣いていた。そして目をこすりながら、そうやって優しいこと言ってからかわないでください、と言ってきた。俺がそう言ったのは本意だったし、からかうために言ったわけじゃないと今の状態の彼女に言ってもきっと返ってくる答えは同じだろう。からかっているだけ、と悲しそうな声を出しながらそう言うに決まっている。
「...春奈ちゃんは俺に告白しにきたんだろ?」
また顔が赤くなっている。こくりと恥ずかしそうにうなずいたとき、一瞬だけ目があい彼女はすっとそらした。
「それで俺も君が好きだと答えを出したんだ。からかうためじゃない。本気で言ったんだよ。どうして信じてくれないんだ?」
「......私が、お兄ちゃんの妹だからですよ...」
「それがどうして俺がからかっているっつー理由になるんだよ」
「だって...気を使って...そう言ったんじゃないんですか...?」
はぁー、どうして俺の気持ちに気付いてくれないんだろうか。鬼道の妹?それがどうした。俺は鬼道じゃなくて君が好きだと何回言ったら分かるんだ。彼女はまるでまるで子ヤギのようにひっくひっく泣いていた(子ヤギの鳴き声なんか聞いたことないけど)。
「君はとても贅沢な子だな。俺の告白を何回も聞けるんだから」
ワガママな君へこの言葉を送るよ。




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